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 第七十八回 地域経済圏の形成−長江三角州経済圏

 中国現代化戦略研究課題班は、「中国では現在、2つの現代化(①工業化と都市化②知識化と情報化)が平行して進んでいて、前者では上海がトップ、後者では北京がトップを占めている」という調査結果を発表しました。ちなみに②の現代化指数で見ると、北京はイタリア並み、上海はポルトガル並みだとのことです。(人民日報2003.2.14)
 このような各行政区域の急速な発展とそれぞれを結ぶ交通インフラの整備は、必然的にこれまでの行政地域別経済を経済地域経済という更に大きな発展段階へ押上げようとしています。その中で、珠江三角州経済圏、環渤海湾三大都市経済圏と並び、今その動きが最も注目されているのが長江三角州経済圏です。
北部が上海に接する浙江省は、早くから上海を中心とした経済圏の形成を視野に交通インフラの整備に着手し、1996年に“三八双千プロジェクト”(3年間で1000キロの主要道路の道幅を拡張し、8年間でさらに1000キロの高速道路を新設)をスタートさせ、2002年には目標を繰り上げ達成しました。
高速道路等の交通網の整備が進むにつれて、沿線に数十の経済技術開発区が誕生し、環杭州湾ハイテク産業ベルト、石化工業産業ベルトなど新しい経済ベルト地帯を構成、嘉興、湖州、杭州、紹興、寧波を結ぶ杭州湾経済圏が徐々にその姿を現しつつあります。
2007年に杭州湾を跨ぐ国内最長の大橋が完成し、上海との距離が120キロあまりに短縮される寧波市は、「北は上海に接し、東は台湾資本を導入する」という戦略の下、北侖港を上海港と連携しあう世界的なコンテナ港にして上海との結びつきを一層強める計画を立てています。上海を中心に江蘇、浙江の諸都市を結ぶ巨大な2時間交通圏が完成することで巨大な長江三角州経済圏が現実のものとなるのです。
2003年3月、浙江省委員会習近平書記と上海市委員会陳良宇書記は<上海、浙江の経済協力と発展を一層推進することに関する合意書>に調印、また、同じ3月、江蘇省委員会李源潮書記と浙江省委員会習近平書記が南京で<経済技術交流と協力を一層強化することに関する合意書>に調印、長江三角州地区の経済の一体化を協力して推進することを確認し合いました。

三瀦先生のコラム