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第786回 航空産業の現状—その1
(2017年9月21日)
2016年一年間の旅客輸送量が前年比11.0%増、延べ4.8憶人に、貨物輸送も5.5%増で664万トンに達した中国航空業界。同年夏秋飛行便は合計7%増となりました。2016年は国際便の増加が顕著で、第一四半期には、全体で31.1%増、対日本54.2%、対ASEAN44.4%、対オーストラリア43.3%、対北米41.4%の伸びを示しましたが、こういった動きの中で、中国航空業界は新しい転機も迎えつつあります。
全国主体機能計画の下で全面的な地域発展を目指す中国ですが、特に中西部地区の発展のネックとなっている、遠隔地であることによる資源分配の壁を打ち破ってハイエンド産業、現代サービス業の発展を促すには航空経済の役割が欠かせません。最近、都市交通の究極の課題として“最后一公里”「最後の1キロ《のケアが焦点となり、モバイクなどが大流行していますが、航空業界で言われているのが“三公里跑道”「3キロの滑走路《、つまり飛行場の建設です。地域経済を牽引するための空港の建設については、2013年に国務院が中国初の国家レベル経済区として<鄭州(河南省)航空港経済総合実験区発展プラン>を認可し、翌年には同空港の貨物取扱量が一挙に44.86%増加し、鄭州試験区の輸出入総額は全省の55%を占めるに至りました。
地方飛行場の建設はすでに第10次5か年計画(2001-2005)以来、精力的に進められ、西部地域でも広がりを見せていましたが、地域産業の発展が追い付かないことによる採算面の問題、更にメインテナンスの問題や整備が進む高速鉄道との競争もあり、その拡充に異論も出ていました。しかし、様々な交通インフラ整備が進んで複合的ネットワークが構築され、また、地方経済の活性化、地方都市の発展、企業誘致が進むにつれ、上述の地域経済をけん引するための空港としての役割が見直されてきたのです。
ここ2年ほどの建設状況を見ても、山東省煙台蓬莱国際飛行場、雲南省麗江寧蒗瀘沽湖飛行場、新疆ウイグル自治区石河子花園民用飛行場、海南省博鰲飛行場、山西省臨汾喬李飛行場、河北省の北戴河飛行場と承徳市平泉飛行場等目白押し。雲南省は2016年時点で年間旅客取扱数が百万人を超える空港が5つあり、2020年には20の空港で延べ1憶人の旅客を扱うと予測されています。第13次5か年計画期間中の具体的方向は次回に。