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第七十九回 広西チワン族自治区の西南出海大通道
中国西南地域発展に果たす広西チワン族自治区(中心都市南寧)の役割がクローズアップされています。第10次5カ年計画で、同自治区と貴州省(中心都市貴陽)、雲南省(中心都市昆明)を合体させた南貴昆経済区の形成が構想されましたが、その中で西南地域が海に出るル−トに位置するのが広西チワン族自治区。1992年、党中央は広西の果たす役割に注目、本格的に交通インフラ整備に乗り出しました。1997年、大動脈“南昆”(南寧—昆明間)鉄道が開通、また2001年に、長江上流経済帯の重慶から北海にいたる全長1709㎞の高速道路も竣工、防城、北海、欽州の三大港と接続しました。同時に“四線連三港”と呼ばれる港間を結ぶ4本の鉄道も完成するなど三大港の整備が進められ、、現在、1万トンクラスのバ−スが20本、合計呑吐量が2000万トンに達する発展を見せています。
また、同自治区は西部でベトナムの4つの省と隣接し、構想が進む中国−アセアンFTA(自由貿易経済地域)の最前線地区でもあり、南寧から国境の町凭祥に至り、中越国境の友諠関でベトナム1号線に接続する高速道路の建設が始まっています。一方、区内を流れる西河は、1000トン級の船隊が通行可能な、西南地区から華南に至る大動脈で、南寧、貴港、梧州といった港群は合計3000万トン強の呑吐能力を備えるに至っています。
広西チワン族自治区は、2002年に着工された420万kWの“竜灘水力発電所”や2006年完成を目指す百色水利プロジェクトなど、豊富な水力を利用した国の“西電東送”の基地でもあります。また、ボ−キサイト、スズ、マンガンなどの鉱産物も豊富な埋蔵量を誇り、多くの農業特産品も擁しています。自治区政府は、全地域を①桂南沿海経済区(港湾経済、海洋産業、ハイテク)②桂中経済区(工業)③桂北経済区(観光、農林業)④桂東経済区(郷鎮工業、外向型経済)⑤桂西経済区(栽培業、鉱業)に分けた発展モデルを推進し、2000年にはGNPが初めて2000億元を突破しました。
東に香港、澳門、台湾、珠江デルタの輻射熱を浴び、西はベトナムに接してFTA構想の受け皿となり、北は長江上流経済区を通してユ-ラシアンランドブリッジを視野に入れ、、南は北部湾から世界にリンクし、自らも豊富な資源に恵まれている広西チワン族自治区は、交通インフラの整備により、急速にその姿を変貌させていくことでしょう。