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第790回 急速に発展:ごみ処理と循環経済*その3
(2017年10月19日)
2015年11月、河北省定州市に国内最大の再生資源産業基地が建設されつつあることが報じられました。同市には一日平均1700トン、年間にして60万トン余りのプラスチック類のゴミが京津冀(北京・天津・河北省)地区から搬入されています。新基地の建設は、環境汚染が深刻な従来型の処理方法からの脱却が目的。最近全国的に特に注目されているのが建築ゴミの再生処理。それもそのはず、毎年最大で24憶トンも発生する中、回収利用は、先進国の90%以上に比べ、わずか5%にも達していません。それゆえ、年に1万数千ヘクタールの建築ゴミ堆積場、埋め立て場の確保が必要になり、当然、環境汚染の危険も増大しています。河南省許昌市はこの面での先進地域。政府が運営し民間に委託、建築ゴミは5種類の材料に変えられ、再利用率はすでに95%以上に達しています。首都北京でも、すでに2011年に建築ゴミ資源化処理場建設計画が打ち出され、その後、首鋼石景山プロジェクトが完成、大興プロジェクトも始動、更に4か所の計画が進んでいますが、全体としては、建築ゴミの内容があまりに雑多で処理コストがかかりすぎる(トン当たり16〜30元)ため、はかばかしい成果を挙げるに至っていません。再生品が安値にたたかれること、合法、違法も含め、埋め立て場使用料が非常に安いこともネックになっています。
2016年7月、上海市は、建築ゴミの市外への搬出を禁じる方針を打ち出しました。きっかけは太湖で起きた大量の上法投棄事件。これをきっかけに設計・施行から完工に至る総合的な建築過程の見直しが図られ、また、大量に発生していた建築残土も、引き取り料を添えて外部に搬出していたのを改め、市内の埋め立てや緑化に使用する方針を示しました。同市では2020年を目標に、建築ゴミ循環利用を柱にした総合管理システムを完成させる予定です。
生ゴミの処理も悩みの種。安徽省合肥市は2011年に国が認定した33の第一次資源化利用処理テスト都市に入りましたが、実際に始まったのは4年もたった2015年9月のこと。その後、大型レストラン・飲食街・各機関の食堂など同市2200箇所の内1400箇所と契約し、2016年には対象箇所からの発生量日量200トンに対し150トンの処理が可能になりました。しかし、ここでも費用の問題、分別されず水・油・有機物など雑多な成分を含む生ごみとその処理に伴う公害問題など、出す側の姿勢、回収する側の管理方法が問われています。