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 第794回 鎮に注目!*その2*

(2017年11月16日)

“特色小鎮”の建設で先鞭をつけたのが浙江省です。2015年からにわかに流行語となったこの言葉ですが、同省では2016年1月時点で79鎮がリストアップされており、最初に認定された37鎮では2015年1年間で431の建設プロジェクトが着手され、総投資額は480憶元、3300社が進出し、13000人の人材が流入した、とのこと。人民日報には2016年1年間だけでも浙江省“特色小鎮”紹介記事が15本掲載されました。では、それらの小鎮は何を特色としているのか、いくつか例を挙げてみましょう。
竜泉市の青瓷小鎮は89社の青瓷企業を招き、青瓷の伝統工芸の工房を定着させました。烏鎮は烏鎮演劇フェスティバルを開催、世界の芸術家が参集し、文化イベントとして定着し始めています。嘉善県甜蜜小鎮はチョコレート。それに温泉やお花畑、水郷、結婚式といった諸要素を加味し、観光業を発展させています。玉皇山南基金小鎮は国内の著吊な投資機構を含め、各種の基金機構をなんと104社も集めました。その管理資産規模は500憶元にも。平湖九龍山航空運動小鎮はその吊の通り、ハンググライダーを売り物にした鎮。独特の素晴らしい地形と景観を利用しています。玩具小鎮もあります。永嘉健橋下鎮がそれで、様々な施設の建設が進んでいます。90年代、WTO加盟を目前に一村一品運動が始まりましたが、一鎮一産業を理念に掲げた“特色小鎮”の建設は、中国の社会と経済に新しい活力を生みつつあります。ただ、こういったブームはその基盤整備も必要です。その一つが電力。瑞安市塘下鎮の特色アイテムはAI自動車部品の製造。当然、電力の十分な供給が大前提ですので、地元の電力供給会社による豊富な電力保証が欠かせません。
2016年12月、党中央弁公室と国務院は<経済発達鎮行政管理体制改革の本格的推進に関する指導意見>を打ち出し、鎮レベルの新都市化にふさわしい管理体制の構築に積極的に取り組む姿勢を示しました。また、2017年2月には同じく<郷鎮政府サービス能力構築強化に関する意見>を出し、公共サービスの強化にも取り組んでいます。
こういった一方で、むやみな動きを懸念する指摘もあります。一つは、鎮が持つ農村文化を破壊し、行き過ぎた都市化でノスタルジアを無視すること、また、浙江省のような経済発展レベルに達していない地方が背伸びして物まねをすることを危惧する声も上がっています。

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