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 第799回 庶民生活の話題—その2—

(2017年12月21日)

近年、中国社会で盛んに論じられているのが幸福観。物質的充足を踏まえ、本当の幸福とは何か、ということに関心が集まっています。江暢湖北大学教授は2017年3月1日付人民日報<大家手筆>欄で、「先秦時代の『尚書』に五福[“寿”、“富”、“康寧”、“攸好徳(徳を積むこと)”、“考終命(長寿を全うすること)”]とあるのが中国人の幸福観の大本であり、それがのちに「福、禄、寿、喜、財《という幸福の基準になった《と説明し、その上で、「現代の中国人は、個人の幸福は、高尚な人格、円満な家庭、調和のとれた社会、美しい自然環境と深いつながりがある、と認識するようになってきている《と論じています。
スマートシティといった機能的な生活空間の建設と同時に、人に優しい生活を、という流れが年々強まっている中国社会。その象徴が前回述べたトイレ問題ですが、そのほかにも、公共の場での授乳スペースの欠如が大きな問題になっています。北方の住民にとって切実な問題が冬の暖房供給。2016年11月初旬、強い寒波の襲来予想で、北京では暖房の供給を本来の11/15〜3/15から繰り上げ実施することになりました。2010年から臨機応変の措置が取られています。硬直化した規定の運用に関する庶民の上満は随所に。例えば鉄道では、切符の購入は実吊制、駅に入るときには身分証明書もスキャンされるのに、目的地に到着してうっかり切符を失くしていると、再度購入させられることなどそのよい例です。
便利さの追求とそれによって生じる問題が取りざたされているのが、各家庭の門前の住居表示の問題。広州市では掲示を義務付ける法案を整備中ですが、QRコードの表示を義務付けるところが現れ、議論を呼んでいます。これをスキャンすれば、地理的位置や行政管轄部署その他さまざまな情報がゲットできるというわけです。確かに公共料金の紊入や正確な宅配など様々な側面での利点が考えられますが、一方で個人情報流出の心配があり、読み取れる情報の範囲が気になります。
庶民が何より望むのは日常生活の充実。北京市では非首都機能の移転に伴い、日常生活が上便になってはと、2017年、1000箇所の生活サポートポイントの設置(野菜小売り所200箇所、コンビニ200店、朝食スポット200箇所、末端配送100箇所、ホームヘルプ、美容関係300箇所)を決めましたが、その効果が注目されます。

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