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第八回 WTO加盟
中国のWTO加盟が遂に現実になりました。 WTOの前身であるGATTに加盟申請してから今日までの関係者の苦労がしのばれます。 WTO加盟とは即ち、自由貿易の枠組みに参加すること。これまでのような様々な規制や、内外の企業に対する差別的な条件は、約束された段階を踏んで撤廃していくことが求められます。経済運営や司法の運用に関しても国際的ル−ルに沿った公正さと透明度が必要になります。知的所有権に関わる特許の問題も重要で、ニセモノの横行が目に余る現状は早急に是正されなければなりません。
一方、各産業では外国企業を迎え撃つための臨戦態勢の構築に大わらわです。中国人民大学の黄国雄教授は、中国の小売業を例に、"四つの遅れ"(観念、管理、営業、販売)、"二つの不足"(資金、管理能力のある人材)、"三つの未熟"(チェ−ン店化、大規模化、組織化)を挙げて改善を促した上で、「外国企業は、中国市場の点と線は押さえられても、中国の商業が広大な中国市場の面を覆い尽くす役割を果たすことはとてもできない。天の時、地の利、人の和はいずれも我にあり。」と力説しています。
今年の4月、北京の信苑賓館で、中国電信の音頭取りで"電信企業相互協力懇談会" が開催されました。"中国連通""中国通信広播衛星公司""中国網通""中国吉通""中国鉄通""中国移動"等の首脳陣が顔をそろえたこの会で、"中国連通"副総裁の余小芒氏は、「各社が協力することは、電信市場開放に対する備えになる。WTO加盟を目前に控え、今は仲間割れをしている時ではない。」と、檄を飛ばしました。
他方、WTO加盟を好機と捉え、"走出去"を旗印に大胆に世界へ打って出ようという気運も高まっています。中国は既に昨年6月から全国に輸出加工区を設置、輸出を奨励していますし、このところ、人民日報は“あらゆる手段を講じて輸出を拡大しよう”という欄を設けて、輸出の拡大を奨励しています。
当面のアメリカや日本の不況による輸出のかげりへの対処でもあることは勿論ですが、プラント輸出の拡大、農産物輸出の奨励、更に、独自の技術とマ−ケットを持った日本の中小企業の買収などは、WTO加盟後を見据えた、打って出るための長期的戦略に立ったものと言えましょう。