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第800回 ロボット市場の新展開
(2017年12月28日)
人民日報(2016.12.19)は、工業用ロボットの消費市場として3年連続世界一だった中国における同年1-10月の同生産量が56604台と、前年1年間を71.5%上回った、と報じました。工業用ロボット以外でも、消防災害救助・家庭用機器・公共安全関係、医療など様々な分野に応用が広がっています。また、高齢化社会に直面している中国では老人介護への応用が期待されており、日経新聞(2016.5.26)は、同分野における安川電機と美的集団の提携を大々的に報じました。ただ、2016年時点で、中国のロボット産業の外国企業占有率は70%前後に達し、中国政府は<ロボット産業発展プラン(2016-2020)>で、2020年には3社以上の国際的リーディングカンパニーを育成、5つ以上のロボット関連産業集積群を形成し、ハイエンド市場における中国企業占有率を50%以上にする目標を掲げています。
同プランでは更に、2020年に工業用ロボット年生産量10万台、奉仕型ロボット年間売上高300憶元以上、基幹小売り部品市場占有率50%以上といった意欲的な数字を掲げ、その実現のために、政治・産業・学校・研究機関・実用・融資が六位一体となった国家的ロボットイノベーションセンターを構築中で、AIとバーチャルリアリティを看板とした新しいITロボット技術の開発に邁進しています。
中国は習近平政権誕生以来、科学技術の発展に全面的に注力し、第12次5か年計画最終年の2015年9月に<科学技術体制改革実施案>を発表、その中には10方面(技術革新市場構築推進メカニズム、より効率的な科学研究体制、人材育成の改革・評価・インセンティブメカニズム、科学技術成果産業化促進システム、科学技術と金融のコラボシステム等々の整備)にわたる32の改革措置が盛り込まれています。
2015年に打ち出された<中国製造2025>は、2025年に製造強国になるという目標を掲げましたが、2016年5月、中国政府は更に<国家革新駆動発展戦略綱要>を発表し、2020年にイノベーション国家の列に加わり、2030年にはそのフロントランナーに、そして2050年には世界の新イノベーション強国になる、という三段階戦略を標榜しました。この戦略に合わせ、同年8月には<第13次5か年計画国家科学技術革新プラン>が打ち出されています。ロボット戦略はまさにその大きな柱の一つになっているのです。