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 第806回 公務員制度改革

(2018年2月8日)

新中国では1984年の<国家機関工作人員法>によって公務員制度の整備が始まり、1988年に国家人事部が設立されました。1993年には<国家公務員暫行条例>が、そして2005年の全人代で<中華人民共和国公務員法>が採択されて2006年1月に施行、公務員制度がほぼ確立されました。この中では、党の指導という原則を踏まえつつ、国家公務員局が全国の公務員を総合的に管理、国家人力資源・社会保障部が公務員人事と給与福利の管理を担っています。また、公務員の指導管理職の職位は国家級・省部級・庁局級・県級・郷科級に別れ、それぞれにまた正副二ランクがあるため、全部で10ランクに分かれています。
一党独裁の中国で公務員はまさに食いっぱぐれなし、しかも許認可権を手にうまい汁を吸えるとあって、長い間“鉄飯椀”と呼ばれ圧倒的な人気を誇っていましたが、その勢いに陰りが見えたのが3年前2014年末に行われた“国考”と呼ばれる<中央機構公務員試験>。なんと受験者数が減少したのです。新聞はその特徴を“一高三低”と表現しました。採用予定者数は2.2万人と過去最高なのに対し、申込者数・競争率・人気職位競争率はともに低下、そのうち競争率は前年の70.1倍から64.1倍に下降しました。
低下の理由について政府は、応募資格がより詳細厳密になったこと、職種によってはハードな仕事内容がより明らかになったこと、また、裏口・コネといった不正雇用を厳しく取り締まったことなどを挙げていますが、更に、公務員の紀律を強化し、職権乱用・不正蓄財などを厳しく取り締まったことにより、うまい汁を吸うことができなくなったことが挙げられます。つまり「公務員になっても割に合わない」ことが認識され始めた、ということです。
こうした中、地方では基層公務員の応募者不足が深刻な問題になっています。その主要な原因の一つが給与の低さです。河北省のある農村では、上記の状況を改善すべく、優秀な党支部書記の給与を2015年に月額610元から2037元に引き上げた、と報じられましたが、同時期の北京市の一般若年基層公務員の給与が4530元ですから、その差はなお歴然としています。しかしその北京市の一般若年基層公務員ですら、62.1%が「同年代と比べ自分は低収入である」と考え、不満率は47.4%に達しています。給与のアップ、年金や職階の平等化など様々な改革が始まっていますが、紀律の強化に見合った待遇改善が望まれています。

三瀦先生のコラム