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第811回 中国とイギリス
(2018年3月15日)
イギリスのメイ首相が2018年1月31日から3日間中国を訪問し、総額93憶ポンドを超える契約を締結したことが報道されました。イギリス国内で2500人以上の雇用を創出するとも伝えられています。
中国とイギリスの関係と言えば、2015年10月に習近平国家主席がイギリスを公式訪問しエリザベス女王と会見、更に21世紀へ向けた全面的な戦略的パートナーシップの構築に同意し、両国企業が30数項目、総額数百億ポンドの合意文書を取り交わし、また、180億ポンドにのぼるイギリスヒンクリー・ポイント原子力発電プロジェクト投資協定に調印したことは記憶に新しいところです。翌2016年6月23日の国民投票でイギリスのEU離脱が決まると、イギリス経済にとって中国との経済緊密化、自由貿易協定の締結は格別重要な要素として認識されるようになり、同年9月のG20では習近平国家主席とメイ首相の会談で両国の「黄金時代」を築こうという大方針が再確認され、それが今回のメイ首相の訪中につながったと言えましょう。
こういった動きを実際にサポートするのが、中国が推進する「一帯一路」とのドッキング。2016年12月31日24時、中国国内からイギリスへ向かう初の中欧貨物列車が88のコンテナに衣類などを積み込んで浙江省の義烏からロンドンへ向け出発、18日間あまりをかけた1万2000キロの旅に出発しました。カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、ベルギー、フランスを経てイギリス海峡を渡り、ロンドンに到達しました。また、2017年4月10日には、ロンドンから初の中国向け貨物列車が32のコンテナにベビー・マタニティ用品やソフトドリンクなどを積み出発、同月29日、無事に義烏に到着しまし、中英間の双方向の運行が実現したのです。
近年、中国からイギリスへの投資はますます増加しており、既に2015年には一年で22件のM&Aや設立投資が行われ、その領域は金融・貿易から電子通信やハイエンド製造・医薬など広い範囲に及んでいます。2016年の両国の貿易額は743.4憶ドルに上り、現在、中国製品を輸入している企業は5万社、中国へ製品を販売している企業も1万社以上に達しています。そんな中、メイ首相の今回の訪中がどんな次の展開を生むのかが注目されます