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第813回 一九全大会以後の動き総括−その1−
(2018年4月6日)
2017年10月に開催された中国共産党第19回党大会から4カ月半が過ぎました。その間、2018年1月には19期二中全会、2月には19期三中全会、そして3月には全人代が開催され、習近平体制が確実に他を圧してその基盤を構築したことは周知のとおりです。この間の動静については既に様々な専門家や研究機関から分析レポートが出されていますが、いずれも事実の一端を捉えていると言えましょう。
既知のことではありますが、これまでの動きをごく大雑把に辿ると、2012年の党大会以後、太子党内における習近平のライバルで江沢民一派とも通じていた薄熙来を、その妻、谷開来が殺人に関与したと言う刑事事件に絡ませて有無を言わさず逮捕し、その明白な罪状を切り札に、政法機関を牛耳る江派の大立者で薄熙来と関係の深かった周永康を標的に据えました。そして周永康の摘発を匂わせながら、大なり小なり彼と関係があった元老たちや実力者に踏み絵を迫ってこれを黙らせ、政治的取引の中で様々な指導小組をスタートさせて習近平自らその長となり、それによって政治局委員の多数を占めつつ国務院を中心に勢力を有する共青団グループにプレッシャーをかけました。
まさにそのプロセスにおいて、胡錦濤の懐刀であった令計画の息子の破廉恥な交通事故死事件が起こり、そのもみ消しにまた周永康が絡んでいたことにより、奇貨居くべし、これをチャンスとして、いよいよ政治局常務委員という大立者周永康の摘発に踏み切り、併せて共産主義青年団グループに対し本格的にメスを入れ始めました。また、有力な軍関係者が周永康と関連が深いことを利用し、江派の最大の牙城、軍の制圧に本腰を入れ、軍の近代化を錦の御旗に軍の再編を進めて軍内の反習近平勢力である江派の一掃を図り、徐才厚、郭伯雄といった実力者を槍玉にして軍権を掌握する動きに出て、激しい凌ぎ合いを続けました。
これが2017年前半までの動きでした。したがって、同年秋の十九全大会では、習近平の後継者問題や、従来の慣習から暗黙の了解があった政治局常務委員68才と言う年齢制限に引っかかる王岐山の去就も絡めた政治局常務委員の改選とその顔触れが大きな焦点となり、それはまた、角突き合う各派閥集団の命運にかかわる大問題として、多くのメディアや評論家・研究者の様々な予測を呼びました。この続きは次回に。