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 第815回 一九全大会以後の動き総括−その3−

(2018年4月19日)

19全大会に話を移しましょう。この大会で注目されたのは習近平の「新時代の中国の特色ある社会主義思想」が党規約に書き入れられたことで、過去の指導者との比較分析も盛んです。しかし、最も注目すべきは彼が描いた今後のタイムスケジュールでしょう。
習近平が掲げる「中国の夢」とは、中華民族の偉大な復興を実現するための象徴的表現であり、その具体的目標こそが「二つの百年」という努力目標ですが、これについて2017年の19全大会はさらに詳しく言及しています。「今から2020年までは小康社会を全面的に形成する決戦の時である。19全大会と20全大会の間は“二つの百年” という努力目標の過渡期になる」、「2020年から今世紀中葉までは二つの段階に分けられる。第一段階の2020年から2035年は小康社会の全面的な実現を踏まえてさらに努力すべき15年であり、社会主義現代化をほぼ実現する。第二段階の2035年から今世紀中葉まではそれを踏まえて更に15年間奮闘し、我が国を富強で民主的かつ礼節があり調和した美しい社会主義現代化強国に築き上げる」
この言葉から何を読み取るべきでしょうか。これは別の角度から分析すると、2035年までは自分がイニシアチブを執る、という習近平の決意だとも見えます。仮に次世代に引き継ぐことはあっても、大御所として盤石の態勢を敷くはずです。今の習近平は中国語でいう“骑虎难下”で、トラもハエも叩いたリアクションを考えれば、中途半端で引退すればとんでもないしっぺ返しを食らいます。習近平の権力掌握の仕方に西側のメディアや評論家は総じて批判的ですが、もう少し深く考える必要があるのではないでしょうか。
毛沢東は厳しい思想統制で統治基盤を確立し、鄧小平は改革開放によって国民のエネルギーを開放しました。それが現在の繁栄を生んだのですが、鄧小平死後、権力者が互いにすみわけしつつ私利を貪り、社会の調和的発展を阻害し、腐敗を蔓延させました。習近平はそれをいったん毛沢東張りに摘発し、社会の気風を是正して一丸となり、上で更に国民のエネルギーを開放して社会主義強国への道を切り拓こうとしています。この考え方自体は大筋として間違っていません。それは、彼を多くの一般国民が支持していることからも明らかです。問題は彼が2035年までの間に毛沢東と鄧小平の二人の役割を段階的に果たせるかで、毛沢東で終わってしまえば、とんでもないどんでん返しを食らう可能性も否定できません。

三瀦先生のコラム