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 第818回 ここ数年の就職事情

(2018年5月10日)

中国ではそろそろ卒業シーズン。今年の就職事情はどう展開するのか、ここ数年の状況から探ってみましょう。
2017年4月、就職シーズンを目前に控え、国務院は<当面及び今後の一定期間における就業創業対策に関する意見>を出し、その中で5つの政策措置を提示しました。第一に産業構造や地域発展を就職と緊密に結び付け、中小企業の役割を十分発揮させるなど、就職優先の政策を展開すること、第二に新興企業形態の発展をサポートし、その社会保障を充実させ、政府が率先して買い付けるなどの優遇政策を実施すること、第三に起業を大いに奨励して就職に結びつけること、第四に、大卒者や留学帰国者、生産能力調整による失業者など、特定のクラスターに対する対策に力を入れること、第五に、職業訓練や就職支援体制を強化すること、などで、いずれも従来から指摘された項目であり、要はその徹底にあります。
最近の就職状況に見られるいくつかの特徴があります。①ここ数年、都市での就職人口が毎年、1300万人ずつ増えており、今後もしばらく1000万人程度ふえつづける。 ②サービス業への就職が50%に迫る一方、第一、二次産業はともに30%を下回った、③民営企業が就職先の主力になりつつあり、都市部の就職先の半数を占めるようになった。④中西部地区の貢献率が高まり、50%を超えて東部地区を上回った。⑤南方が北方を上回っている。2016年、北方の13の一級行政区は就職の27.2%、南方の18の一級行政区は72.8%を占めた。
政府はここ数年、都市部の登記失業率が4.1%以下を保っていることを挙げていますが、逆を言えば潜在失業率はどうなのか、と言うことにもなります。その意味でも、大学の新規卒業生の就職率が問題にされるのですが、統計では、卒業半年後の就職率は90%を超えています。ただ、2016年の就職満足度は65%、平均月収は3988元となっています。
政府は、職業選択の幅を広げるよう宣伝に努めるとともに、西部地区など地方での就職や、「スロー就業」、つまり、慌てて就職せず、じっくりスキルアップして良い就職先を見つけることも奨励していますが、その一方で、雇用側の、学歴・戸籍・年齢・出身地域、更には、セクハラ、マタハラと言った条件的差別も問題になっています。産業構造が転換する中、求人難と就職難が同居するここ10年余りの状況の改善が急務になりましょう。

三瀦先生のコラム