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 第八十二回 私立学校の発展

   百万箇所:6万箇所、3億人余:1千万人。中国の公立学校と私立学校の比較です。つまり、私立学校数はまだ公立学校数のわずか6%にすぎません。しかし、世界の教育総経費の1.5%で世界の被教育者総人口の20%(2億3千万人)に対処している中国では、教育拡充に政府資金が到底足りず、細分化、専門化するニ-ズに合わせた多彩な教育内 容を提供するには、今後、どうしても民間の資金や活力の導入が不可欠です。
 ここ数年、各地で私立学校をめぐるトラブルが相次ぎました。法整備が不十分なため、営利目的のいい加減な私立学校が乱立したのです。2002年に江蘇省南通市の私立学校が、出資会社が突然投資を中止したため閉鎖になり、400名あまりの生徒が一時、 行き場を失う事態が発生しましたが、これなどまだ良い方。中には設立を宣伝して生 徒を募集し、さまざまな協力費を徴収した後すぐにドロン、という悪質なケ-スも起こりました。
そこで政府は、2002年12月28日、<中華人民共和国私立教育促進法>を公布、2003年 9月1日から施行されることになりました。この中の第3条では「私立教育授業は公益性事業であり、社会主義教育事業の構成要素である」と規定、第5条、第27条では、私立学校及びその教師が公立と同等の法律的地位を有することが明記されました。特筆すべきは第51条で、私立学校は営利を主目的とはしないが、出資者が、学校が必要とする費用を確保した後、余剰金の中から合理的見返りを受け取ることを認めました。適当な範囲で出資者が利益を得られるようにし、大いに民間資金を導入しようというわけです。
私立学校は外国語、コンピュ-タ、観光、調理、特殊技術など専門的な技術分野でその発展が期待され、普通高等教育機関だけでも全国で1202箇所を数えるに至りました(2001年)。2003年3月、北京では、北京吉利大学、北大方正ソフト職業大学など5大 学の続いて6番目の北京経済技術職業学院が誕生しましたが、外国の教育内容の導入(9月1日には<中華人民共和国中外合作学校経営条例>も施行予定)も含め、今後、 様々な形態の私立高等教育機関が出現することでしょう。一方では、公立高等教育機 関が99年以来、毎年30%を越える割合で入学定員を増やした影響で、私立へ入学する学生の質の低下が問題になっていますが、私立が特色ある教育でこの壁を突破できる かも注目される点でしょう。

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