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第826回 食にまつわる話(2)

(2018年7月12日)

 人民日報で私が大事にスクラップしている料理コーナーはいくつかありますが、その一つが“多味斋”。1990年代から続いている人気コーナーです。もう2年半も前、2016年1月16日付に「豆腐好」(王慧骐)という文章が掲載されました。そこでは『文人品豆腐』、『百家美文话豆腐』という2冊の本が紹介されていましたが、それによると、周作人、秦牧、王蒙などをしのいで、最も豆腐について蘊蓄を傾けているのは汪曾祺だそうな。紀元前164年が起源で、臭豆腐、豆腐乾、豆腐皮、腐竹などを生んだ豆腐について、中国人の寄せる思いは並大抵ではありません。
最近では調味料についての関心も深まっています。富に脚光を浴びている一つが山西酢。2016.12.10付の「晋中访醯」(李培禹)では、3000年の歴史を持つという山西酢の名産地であり、国の非物質文化遺産保護モデル基地となっている東湖老陳醋を取材し、詳しいその製造過程とそこで生産に打ち込む人たちの姿を紹介しています。更に2017.1.29付<味蕾的记忆>では、ほぼ1ページを使い、多くの写真も配して醋の大特集を組んでおり、なかなか読みごたえがありました。同欄では2017.2.1付の四川省郫県の豆瓣醬や滿族大醬、同年5.6の糖葫蘆も力作でした。北京人にとって夏の酸梅湯、冬の糖葫蘆は欠かせませんね。
人民日報には<家乡美味>という欄もあり、実に様々な地方の特色ある家庭料理を紹介しています。地方料理の紹介ですから、「太湖蒓菜」、「呼呼浩特玉泉烧卖」、「拉萨藏面」といった具合に、毎回のテーマ料理にはすべて地方の名前が冠されています。
伝統文化豊かな中国ではそれぞれの伝統的催事に関わる料理も盛りだくさん。2015年の春節2.21付には、臘肉に関する特集が掲載され、浙江省・四川省・広東省各地の臘肉、湖北省の臘魚などが紹介されていました。2017.1.7の「腊八粥与八宝寶茶」も様々な角度から良くまとまった文章でした。3年前の2015.9.27付には「中秋敬月烙糖饼」という文章が掲載されましたが、「小さい頃母が作ってくれて家族みんなで食べたあの味をぜひ自分の子どもたちにも伝えたい」という素朴な思いが温かく胸に沁みこんだのを覚えています。2016年に『ミシェランガイド2017上海版』が上海のレストランの格付けを発表しましたが、上海ではあまり共感を呼びませんでした。料理の格付けの基準とは一体何でしょうか。

次回は7月12日の更新予定 テーマは<都市建設、最近の新たな試み>です。

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