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第828回 都市建設、最近の新たな試み
(2018年7月19日)
2016年に提示された、2016-2020年の第13次5か年計画を見据えた中国の都市建設に関する政府の<都市計画建設管理工作の一層の強化に関する若干の意見>では、これまでにない新しい方針が提示されました。例えば、都市内の道路整備ですが、従来のような幅の広い大通りを整備することに重点を置かず、幅の狭い道路網をより密に整備する方針が掲げられました。そうすることで人々が大回りする必要がなくなり、また、重要な都市の文化財などの立ち退きも減らすことができる、というわけです。一方通行も積極的に導入されるとのことですが、道路網を密に整備すれば必然的に道路に面した土地も増えるわけで、街の活性化にもつながる、と期待され、2020年には市街地区の道路面積率を15%に引き上る目標数値が掲げられました。
もう一つ画期的な提案が、これまで安全第一ということで外部に対し閉鎖的だった社区と言われる居住地域の壁を取り払い、内部の道路を公共の道路として開放しよう、という方針です。こうすることでやはり大回りする必要がなくなり、都市の交通がスムーズになります。今後新しく建設される団地はこの方針に沿って進められ、既存の団地にもこの方針に沿った改造が進められるということです。
同意見ではこのほか、中心市街地では500メートルごとにバス停を整備すること、汚水の全面回収や再生水利用率20%以上、ゴミのリサイクル率35%以上などが2020年目標として掲げられましたが、それから2年半がた経ち、現在の都市建設は何が大きなテーマになっているのでしょうか。その一つが、各都市の各地域の気候に合った都市インフラの建設です。上記の意見とほぼ同時期に政府は<気候変化適応都市行動プラン>を発表、30の典型的な都市を選出し、気候観測体制、気候に対する脆弱性の評価、水問題、地下利用など様々な面からの取り組みを始めましたが、その後現在に至るまで、集中豪雨などに対する抜本的な対応として「海綿都市」建設の取り組みが各地で急ピッチで進められています。また、スマートシティ建設への熱意はすさまじく、既に副省級以上の都市は100%がスマートシティ建設プランを提示しており、これまた各地から新しい取り組みが次々と報じられ、これに合わせて、華為などもスマートシティ生態圏行動計画をスタートさせています。