企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第830回 考古学この2年

(2018年8月2日)

考古学の発見については、一昨年末以来書いていなかったので、ここ2年間似ついて概述しておきましょう。まず、2016年の十大考古新発見の中から。
寧夏回族自治区青銅峡鴿子遺跡からは、12000年前、10000年前、4800年前の文化層が出土し、火を使い植物を利用した痕跡、更には工芸品も出土しました。貴州省貴安新区の牛坡洞洞穴遺跡は旧石器時代以来1万年にわたる途切れない文化層を提供、火の使用や墓葬、陶器等も発見され、また、6000年前の中国西南部では最も早い稲作遺構も発見されました。湖北省天門の石家河遺跡は5000年前から3800年前まで千年以上も長江中流域で栄えた同時期最大の集落群で、その中心にある譚家嶺で20万㎡にも及ぶ都市の遺構が発見され、関連遺跡で発見された240件の玉器は当時の中国における最高水準とされています。同市青浦の青龍鎮遺跡では、隆寺遺跡の発掘を通じ、上海地域で最も早くに存在した交易港であった青龍鎮が、唐・宋時代、日本・新羅・広南などへの陶器の輸出により、当時の二大貿易港、揚州や明州(今の寧波)に次ぐ港であったことを証明しました。
2016年の十大考古新発見の中からもいくつか拾ってみましょう。
山東省章丘焦家遺跡は約5000年前の山東省北部地域の遺跡で、大汶口文化晩期に属する215基の墓が発見され、大量の陶器、玉器、その他の副葬品が出土しました。城壁や堀などの遺構もあり、同地域の一大中心地であったことが明らかになりました。
ほぼ同時期に黄河中流域で栄えた廟底溝文化は、仰韶文化が竜山文化へ移行する過渡期の重要な文化ですが、陝西省高陵の楊官寨遺跡は国内で初めて確認されたた廟底溝文化の大規模な成人墓地で、343基に上る墓からは当時の埋葬、婚俗、血縁関係など様々な情報がもたらされました。また、春秋戦国時代に関する発掘では、河南省新鄭の鄭韓故城遺跡から東周時期の中原地区の王城の様子が、陝西省西安の秦漢櫟陽城遺跡からは、秦の献公頃から前漢時期に至る宮殿などの遺構が発見されました。
新しい発見とともに、これまでの出土品に対する研究と発見も見逃せません。前回に紹介した海昆明侯劉賀の墓から出土した竹簡5000枚余りからは『論語』、『易経』、『礼記』、『医書』、『五色食勝利』など多くの典籍が見出され、今後の調査が楽しみです。

次回は8月9日の更新予定 テーマは<海南省の発展とその意味>です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム