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第836回 ネットビジネスの動向-その1-
(2018年9月20日)
本コラム第675号(2015.6.29)で「ネットビジネス新時代」を書いてはや3年以上が過ぎました。その間、中国のネットビジネスは猛スピードで進化を遂げてきました。2016年6月に北京で開催された中国“インターネット+”サミットで発表された<中国“インターネット+”指数>(小売り・金融・交通物流・医療・教育・文化娯楽・飲食宿泊・観光・商業サービス・生活サービスの10大産業をカバー)は、京東のECデータ、滴滴の外出データ、美団と大衆点評の生活サービス及び飲食宿泊データ、携程の観光データ、掃描のデータなどに基づいて算出されたもので、そのデータ総量は世界最大の図書館であるアメリカ国会図書館800個に匹敵すると言われています。それによると、全国全体量に占める割合は広東省が18.072%で第一位、続いて北京市11.256%、上海市6.179%、浙江省5.512%、江蘇省5.031%と続いています。興味深いのは地域によって“インターネット+”が最も進んでいる産業が、華北が教育なのに対し河南は医療、東北は飲食宿泊などと異なる事でしょう。
2015年の現象がさらに勢いよく発展しているのが、多くのタオバオ村の出現で沸いた農村におけるECでしょう。習近平が全力を傾注して進めている、2021年に向けた貧困撲滅の切り札として、大きな役割を果たしているからです。そんな中、新しい動きも芽生えています。そもそも、農産物のECは辺鄙な農村の産物でも都市の消費者に簡単にPR、販売できるところにありますが、一方これを消費者から見れば、同じナツメでも安心で品質の良いものを全国から自分で選んで買えるわけです。となると当然そこで選別が生じます。良い品は売れ、品質が悪かったり、農薬含有量が高ければ敬遠される。つまり、広い範囲で競争が起こり、農産物のブランド化、質や安全の向上が急速に展開されるようになったのです。当然、輸送時の鮮度の保持や扱いにも格段の神経が注がれるようになってきました。
また、ECの発展は農村の産物の都市への流入だけでなく、都市の製品の農村への流入をも大幅に促進し、更には海外からの様々な製品も音を立てて農村に流入し始めました。こうした動きを象徴したのが京東の3F戦略で、工業製品(Factory)と金融(inannce)を農村に、生鮮食料品(Farm)を食卓に、という内容です。