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第841回 文化産業振興-その1-
(2018年10月18日)
2012年の十八全大会以降、18期三中全会、四中全会などで示された、中国の伝統文化に根差した文化強国を建設しようという方針に則り、ここ数年、矢継ぎ早に多くの政策が打ち出されました。その足取りを時系列でたどってみると、文化強国の建設には大別して二つの側面がみられます。一つは、2021年の中国共産党結党100年には全面的小康社会を実現するという目標を達成するために習近平政権が精力的に推進している貧困撲滅に歩調を合わせ、文化的生活を国民に等しく享受させることを目指した文化普及体制を構築し、それに歩調を合わせ様々な文化産業を育成し、なおかつ、それによって文化・思想面での共産党統治の強化につなげよういう側面、もう一つは、文化産業という産業分野を中国経済の重要組成部分として育成し、海外への中国文化の積極的な発信及び貿易収支への貢献度を高めることを目指し、それに見合った強力な企業を育成しよう、という側面です。前者の皮切りになったのが、2015年1月に中共中央弁公庁・国務院から出された<現代公共文化サービス体系構築加速に関する意見>で、2020年には全ての都市や農村をカバーする、一定レベルを保った公平な公共文化サービス体系を作る、というもの。地域的には、旧革命地域・少数民族地域・辺境地域・貧困地域を、社会構成員としては、高齢者・未成年・身障者・出稼ぎ労働者・農村両親不在児童などの社会的弱者を対象にし、各地方行政府に具体的な取り組みを求めました。同年9月には<国有文化企業が社会的利益を第一に据え、社会的利益と経済的利益を統一させることに関する意見>を出して、国有企業に対し、その経済的、市場的価値の追求は必ず社会的利益、社会的価値に奉仕することを第一としなければならない、と釘を刺し、10月には<基層行政レベルにおける総合的文化センター建設推進に関する指導意見>を発し、「2020年には、全国の郷鎮(街道)、村(社区)に総合的文化センターを設置する」方針を打ち出しました。文化の宣伝、党員の教育、法治教育・健康増進などを中心に、様々な活動を展開しようというものです。その後、2017年2月には、<国家文物事業発展“十三”プラン>が打ち出され、12の文化財保護プロジェクトと共に、「2020年には全国で25万人に1つの博物館を建設する」方針が示され、また、中華文化の国際的影響力を高めるための5つのプロジェクトも提示されています。