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第844回 新自動車をめぐる動き―その1―
(2018年11月8日)
電気(EV)自動車や無人自動車の開発を巡る動きがここ2、3年活発化し、また、目まぐるしく動いています。中国はかねてより、ガソリン車から電気自動車への転換を契機に、この分野でも“弯道超车”(カーブでの追い抜き)をすべく、手ぐすねを引いて準備を進めてきましたが、その動きが無人運転車の開発と共に活発化したのが2016年で、多くのスマートカ―が登場しました。同年4月の北京モーターショーでは、スマホや携帯で操作し、様々なネットサービスが受けられる栄威RX5が上海汽車とアリババにより発表され、長安汽車は、交通標識の識別や追い越しなどを含めた無人自動車の本格的な試運転を行い、6日間かけて重慶から北京へ至る高速道路2000キロを走破しました。また、奇瑞も同年、第12次5カ年計画期に培った技術を土台に、新エネルギーとスマートを兼ね備え、様々な走行機能を付加した2代目無人運転車を発表しました。こういった動きに合わせ、上海には、同年6月、上海国際汽車城に“国家智能网联汽车(上海)试点示范区”「国家スマートカー(上海)テストモデル区」が開園し、スマートカーと無人運転車の開発という国家戦略がいよいよ現実の走行テスト段階に入ったことを示しました。
スマートカーの開発は、まず、自動車をスマート空間にすることから始まり、それに電気自動車・自動運転の段階が続き、最終的には完全自動運転の段階を目指しているわけですが、最終段階に至るには5Gの開発や、網羅的なスマート交通システムの確立、付随するハードの整備など多くの課題があります。最終段階の完全自動運転については、2016年当時、上海汽車は2030年に完全自動運転実現を目論み、一方、長安汽車は2025年には量産を、と意気込んでいましたが、複雑な中国の道路事情、行政区間の交通規則や標識の不統一などを考えると、基準の制定や法律の整備には相当の時間がかかるだろうとの観測が支配的でした。
2017年4月、政府は<自動車産業中長期発展プラン>を発表しました。このプランは、GDP成長率を6.5%以上とし、それに相応した都市化を前提としたもので、2020年には自動車生産台数3000万台、新エネルギー車200万台、2025年には、それぞれ3500万台、700万台を見込んでいます。詳しくは次回に。