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第845回 新自動車をめぐる動き―その2―
(2018年11月15日)
<自動車産業中長期発展プラン>はさらに、2020年に新エネルギー自動車で世界ベストテン入り数社、革新技術で国際的な競争力を備えた1000憶元を超える規模の自動車部品メーカー数社、いくつかの世界的な自動車ブランド(先進国へ輸出)の確立、燃費100キロ当たり5リットルなどという目標を実現し、2025年には更に、新エネルギー自動車とスマートカーで世界の先端に躍り出、自動車部品メーカーや自動車ブランドも複数が世界ベストテン入りし、燃費100キロ当たり4リットルを実現する、としています。中国の自動車市場は2017年ですでに2888万台に達し、3位の日本(523万台)に大差をつけ、新エネルギー車でも、77万台と世界の約半分に迫る勢いです。しかし、例えば、電気自動車の開発を見ると、雨後の筍のように誕生したメーカーは60社に上るものの、その約半分は投資目的、政府の補助金目当てで、生産はほとんど進んでいません。その一方で、それらの企業の生産計画総量は、上記の2020年200万台という数字に対し、10倍の2000万台に達しており、近い将来、大幅な淘汰が進むことは避けられません。
2018年2月、中国自動車ブランド発展サミットが北京で開催されました。乗用車での現時点での自主ブランドベスト10は①吉利、②長城 ③広州 ④長安 ⑤北京 ⑥奇瑞 ⑦BYD ⑧上海 ⑨江淮 ⑩衆泰。同年4月、政府は2018年に専用車、新エネルギー車への外資持ち株比率制限を撤廃、2020年には商用車、また、2022年には乗用車も撤廃するとともに合弁企業2社規制も撤廃するとしましたが、こういった動きを受けて、上記の企業と外資企業との様々な提携が活発に動き始めました。中でも吉利は習近平国家主席が浙江省に居た時から密接な関係にあり、その特別な庇護の下で意欲的に海外買収も行い、飛躍的な発展を遂げており、日本のトヨタもHV技術の供与で協議に入っています。
その一方で新しい勢力の台頭も目につきます。スマートEVメーカーの蔚来汽車は8位の江淮と提携しつつ、ユーザー本位の車づくりを目指し、吉利出身の沈暉が創業した威馬汽車は品質が高く価格が安い車づくりを目指しています。注目すべきはあのバイドウは世界の100以上の企業や団体を糾合して立ち上げた「アポロ計画」というオープンプラットフォーム。閉鎖的な日本企業は、対応を間違えると置いてきぼりになる恐れもあります。