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第846回 水対策の新しい動き
(2018年11月22日)
中国にとって水問題は国民の生活にとっても経済発展にとっても常にアキレス腱となっています。まず基本的に水資源が不足していること、次に深刻な汚染問題です。汚染については、大気汚染・土壌汚染と並ぶ三大汚染として位置づけられ、様々な取り組みが行われ、本コラム欄でも詳細に紹介しました。その後水問題はどんな進展を見せているのでしょうか。第12次5か年計画が終了した2016年1月8日、人民日報は<“十二五”水利改革発展紀実>という記事を掲載、同期間中の成果を誇示しました。例えば、5年間で農村の水道普及率は76%に達し、2憶9800万人の農民に恩恵が施されたこと、4万6000基の危険なダムが補修されたこと、62万カ所の小型水源が整備され、46万キロの灌漑水路が建設されたこと、26万㎢の国土が緑化され、水源地の確保と整備が進んだこと、などなど。
こうした成果をベースに、2016年-2020年の第13次5か年計画の目標が設定されたわけですが、2018年も過ぎ、まもなく2021年以降の第14次5か年計画の策定も視野に入っている現在、現計画の進捗状況はどうなっているのでしょうか。
2016年に政府が発表した<水利改革発展“十三五”プラン>は洪水灌漑対策・節水・給水・水生態環境保護・水利改革管理等に関する16の指標、例えば、水使用総量を6700億㎥以内に抑制する、重要河川湖沼機能区水質基準達成率80%以上、田畑灌漑水有効利用係数0.55以上、農村の水道普及率80%以上、水供給能力新規増70億㎥などを掲げました。 中でも水使用総量の抑制は最重要テーマであり、同年は6040.2億㎥と、前年比で63憶㎥減少させました(地表水81.3%、地下水17.5%、その他1.2%)。生活用水や環境保全用水が増えた一方で、農業用水が84.2億㎥、工業用水が26.8億㎥削減されました。
2017年7月に開催された“十三五”における水行政施策推進会議では、総額44憶元、31の水関係科学技術特別重大プロジェクトが示され、同年にはそのうち23項目が始動しました。この面での研究に関しては、過去10年来、中国は日本など先進国の技術の習得に勤める一方、“三河三湖”への取り組みを中心に、300テーマ以上の研究開発に注力し、既に1400以上の特許を取得、300余りの基準を設けるまでになっています。
次回は、テーマ別の取り組みと河長制度推進発展へ話を進めましょう。