トップ > 現代中国放大鏡
Last Update:
第849回 最近の日中関係-2017年その1-
(2018年12月20日)
毎年掲載している前年の日中関係及び関連する報道に対する総括が滞ってしましましたので、年末に2017年の総括を、年明けに、続けて2018年の総括を執筆します。2017年は秋に党大会を控え、中国側が日中関係にどういった姿勢を見せるのかが注目されました。5年に一度開催される党大会ですが、2017年の大会は、新政治局常務委員や政治局委員の選出で習近平派が確固たる基盤を確立する人事を行えるかが焦点になっており、そのためには外交では毅然とした態度が、また経済では一定のGDP成長率を死守することが求められました。その一方で、2021年の中国共産党結党百年に、公約していた「小康社会」を実現させ、その勢いで2022年の党大会を乗り切るには、2020年終了の第13次5カ年計画を成功させることが絶対条件になります。そのベースの上にこそ、「2025年に世界の製造強国を実現する」ことを目標に置いた第14次5カ年計画の策定が可能になりますが、その作業がスタートする2019年に足掛かりとなるのは2018年までのデータですから、党大会後は2018年に第13次5カ年計画の様々な数値目標をどの程度まで達成できるかがまさに死活的課題になります。しかし、党大会に向け、目先の経済の好調を保つために、国有企業改革や金融システム改革を先延ばしにしたツケがあり、これに取り組まなければ第14次5カ年計画での発展が危うくなります。それではと真剣に痛みを伴う改革に取り組めば一時的な経済の停滞は避けられず、上述の死活的課題である数値目標の達成に黄信号がともります。この苦境を乗り切るためには鳴り物入りの一帯一路がまだ構築途上である状況下では、日本との関係改善、経済交流の促進が不可欠の要素で、したがって、2017年の党大会前は党大会後の関係改善に向けた地ならしが着々と進められ、党大会後は日中関係改善へ向けた動きが急速に表面化しました。
具体的な動きを見てみましょう。都合の良い事に、2017年は日中国交正常化45周年、2018年は日中平和条約締結40周年という節目の年、大義名分は十分ですので、無理なく友好行事を行うことができます。2017年4月12日、東京で中国側から程永華駐日大使、日本側から福田康夫元首相、二階俊博自民党幹事長、更に日経連など多くの帰還の代表が集まり、国交正常化45周年記念交流活動を促進する実行委員会の初会合が開催されました。