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第854回 住宅問題の変化-その2 -

(2019年1月31日)

前述の<若干の意見>で打ち出された住宅賃貸市場育成発展の6つの具体的措置とは、①市場における供給主体の育成:賃貸企業の大型化・集約化と専門性の向上。②住宅賃貸消費の奨励:関連政策の整備、借家人に対する基本的公共サービスの保障。③低所得者向け公共賃貸住宅の整備:ppp方式の奨励、管理運営の専業化・社会化。④賃貸住宅建設の支援:各地の住宅発展プランで商用ビルや一般住宅からの転用を奨励。⑤政策面からの強化:関連企業・機構・個人への税制上の優遇。不動産投資信託の推進。⑥賃貸業に関する監督の強化:都市人民政府による管理の明確化。基層組織の十分な活用。
こうした総合的な方針の下、地方政府には遊休地の抜本的な活用など様々な方法での土地の供給が求められました。その後直ちに、北京・成都など各地でこれに呼応した動きが活発に展開されました。同年11月11日付人民日報は、全国20都市の住宅市場新調整政策を詳細に紹介しましたが、そこでも土地の供給を増やしつつ、どう管理するか、が大きな焦点になっていました。勿論、政府側も財産権の保護の制度化・法治化を積極的に推進し始め、11月には<財産権保護制度を整備し、法的に保護することに関する意見>が打ち出されました。財産権自体は知的所有権など多岐にわたる権利を含みますが、土地の使用権など住宅用地の問題とも深く関わります。
2017年に入ると、都市部常住人口1憶6000万人の21%が賃貸住宅利用者である、というデータに基づき、さらなる需要を満たすため、全国的にバラックの改築が進められました。2017年全体で600万戸の改築が計画され、さらに政府は200万戸の公共賃貸住宅を新規に供給する、と発表しました。法整備も着々と進められ、同年5月には中国初の賃貸に関する法規<住宅賃貸と販売管理条例>のたたき台も提示されました。注目すべきはその後8月に試案が提示された<北京市共有財産権住宅管理暫定規則>で、マイホームがない家庭の住宅需要を満たすため、「政府と住宅購入者が一定の割合で財産権を共有し、政府が部分的財産権の使用権を最初の購入者に譲渡する」ことによって購入負担を軽減しよう、いうものです。翌2018年は、住宅購入市場と賃貸市場を対立ではなくどう連動させるか、も議論になりました。武漢では既に賃貸交易プラットフォームを開設、今後の動向が注目されます。

次回は2月7日の更新予定 テーマは<成渝経済圏の変貌>です。

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