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第855回 成渝経済圏の変貌-成都

(2019年2月7日)

一帯一路政策の展開につれ、成都・重慶を中心とした<成渝経済圏>の重要性が急速に高まっています。西安からウルムチを通って中央アジアを抜け、ヨーロッパに至る“一帯”(陸のシルクロード)と、ASEANから西南アジア、中東を経てギリシャ、スペインにまで至る“一路”(海のシルクロード)を結ぶ扇のかなめになるのが西安-成都-昆明-重慶-西安とつなぐ菱形経済圏であり、それを可能にしたのが交通網、とりわけ高速鉄道の整備による3時間経済圏であることはこれまでも夙に触れてきました。その中でも成都・重慶は、現在、国家的プロジェクトになっている“長江経済ベルト”の起点でもあり、まさに国内外の巨大プロジェクトの接点として、その重要性が高まり、高度発展期を迎えているのです。
四川省で一帯一路政策に照準を合わせた総合的な政策が講じられ始めたのは、ほぼ2015年頃と言ってよいでしょう。交通システムを例に挙げると、竜門山をぶち抜いて成蘭線を建設することで“一帯”に接続し、従来からある成昆線での“一路”との接続と合わせて、名実ともに一帯一路をつなぐパンタグラフの役目を果たせるようになりました。また、成都-西安-環渤海湾を結ぶ鉄道や高速道路の整備は、モンゴル人民共和国やロシアにもつながる大動脈の整備へと繋がっています。交通システムに止まらず、政府による<成渝都市群発展プラン>の後押しを受けた産業の育成も急ピッチで始まりました。その中心になったのが2014年に国レベルの新区となった天府新区で、現代製造業を主とした国際的なハイエンド産業集積区の建設が進められました。2016年8月には中国(四川)自由貿易区が認可され、10月に開催された第15回中国西部海外ハイテク人材面談会には、世界各地から多くの先端科学技術研究者や専門家を含む華僑華人が集結し、期間中には89のハイテクプロジェクトも調印されました。成都では2017年、<成都産業発展白書>の発布、<産業新政50条>、66の重点産業パークの建設、四大産業新都市の建設などの政策が次々と打ち出され、成都高新区はその中心として、既にアメリカ、イギリス、ドイツなど海外にも13の海外人材オフショア基地を設け、ノーベル賞受賞者5名を含む多くの人材の取り込みに成功しました。成都はさらに西部地区の金融センターとしての地位も確立しつつあり、同市の金融本部ビジネス地区には既に世界の多くの主要銀行が進出を果たしています。

次回は2月7日の更新予定 テーマは<成渝経済圏の変貌-重慶>です。

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