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第859回 宇宙開発事業最近の動き―その1-
(2019年3月7日)
中国の宇宙開発事業は2012年の第18回党大会以降も着実かつ急速な発展を見せてきました。中国版GPSとも言える北斗衛星が地域サービスを提供し始めたのがまさに2012年でしたが、その後、2013年には月面への軟着陸に成功しましたし、中国が2006年に策定した<国家中長期科学技術発展計画要綱(2006-2020)>で、国家科学技術重大特別プロジェクトとして掲げられた高解像度地球観測システムの整備を目標に、高分シリーズ(先進光学衛星シリーズ)も2013年にその第一号が、翌年矢継ぎ早に第二号が打ち上げられました。2015年には搭載型ロケット長征シリーズの打ち上げが続き、翌2016年には更に能力を拡大した新世代の長征シリーズも相次いで打ち上げられました。同年はまた、有人飛行船神舟11号が打ち上げられ、宇宙ステーションのひな型である天宮二号とのドッキングにも成功しています。
こうした多方面に渡る着実な実績に加えて、先進的分野への意欲的、積極的な取り組みも目につきます。例えば、2015年に打ち上げられた暗黒物質粒子探査衛星「悟空」は2年後の2017年に世界で精度が最も高いと言われる宇宙電子線探査結果を入手しましたし、そのほか、2016年には量子科学実験衛星「墨子号」が、2017年には技術試験衛星「天鯤一号」発射されています。2016年、政府は4月24日を初の「中国宇宙デー」に指定、その後毎年関連行事を開催して宇宙開発の成果を示しつつ、宇宙開発への国民の夢を育んでいます。
その後の動きについて、今回は特に測位に関わる北斗衛星システムを取り上げましょう。2017年三月の人民日報に、「我が国の北斗衛星ナビゲーションはアメリカ並みの位置測定精度に達した」と言う記事が掲載されました。具体的には、精度が従来の10メートルから1-2メートルにアップし、主要道路と支道をはっきり区別できるようになり、また、測定までの時間も30秒が3秒にまで短縮され、ドライバーのニーズに迅速かつ正確に対応できるようになり、自動運転・無人運転に向けても大きな前進となりました。こうした北斗の能力アップは地域発展にも強力な推進力を提供します。同年4月、京津冀地区は共同で<京津冀北斗測位サービス発展協同推進アクションプラン(2017-2020)>を発表、2020年に交通物流・養老・緊急予報などを含む北斗ビジネス1200憶元達成、という目標を掲げました。