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第863回 食の消費、最近の変化-その2-
(2019年4月4日)
北京を例にとりましょう。最初は日本同様、ハンバーガーやピザなどのファストフードのデリバリーが登場したのですが、その後の内容の拡大は驚くほどです。中華料理、西洋料理、日本料理、様々な出前が誕生しています。その勢いはまさに人々の食生活を変えつつある、といっても過言ではありません。調査によると、デリバリーの利用者は5年前の2013年にすでに一億人を突破、その後も増える一方なのに対し、カップラーメンを食べる人はその頃から急減しており、2013年は大きな転換期だったとも言えましょう。フードデリバリーを軸とした総合予約サービスサイトを運営する美団点評研究所の「二〇一七年中国フードデリバリー発展研究レポート」によると、二〇一三年から二〇一七年にインターネットを利用してデリバリーを注文したユーザー規模は一億一千万人から三億人に増加しているとのこと。これに対し、世界カップラーメン協会の統計では、二〇一三年から二〇一六年にかけて、中国本土および香港のカップラーメン年間販売数は四六二億二千万個から三八五億個まで減少した、との数字が報告されています。 こういった発展を後押ししているのが配達時間の短縮でしょう。激しい競争の中、いかに早く顧客に注文の品を届けるかは重要な差別化につながります。現在、業界大手の平均配達時間はいずれも三〇分以内となっていて、これを超過した場合は、代金がタダになる上、賠償金が支払われるサービスも登場しています。
デリバリーサービスは、老人介護や託児などの社会福祉サービスにも効果的です。その方面での需要に応じ、デリバリーの内容も単に飲食に止まらず、医薬品などにも広がり、さらには消費者が必要とする品物の「代理購入」サービスにまで発展しています。
デリバリーフードサービスは今、大都会から地方の都会へと急速に普及し始めており、人々の食生活のスタイルを根底から変えつつあります。「デリバリーシステム利用後、料理を作る回数が減ったユーザーは五二パーセントに上り、デリバリーサービスの普及に伴い、三五パーセントの利用者はキッチンなしの部屋を借りてもいいと考えている」と人民日報は報じています。中国デリバリー産業の発展はまだまだ拡大傾向が続きそうです。