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第867回 農村の電力網整備

(2019年5月2日)

今中国はスマホ全盛のキャッシュレス時代、これをベースにした新産業の誕生は引きも切らず、一方、貧困撲滅の大きな決め手となる特産物の育成には農業技術の向上や加工生産が欠かせず、更に、これとタッグを組んだECの発展も必要です。加えて物流には交通の発展が必須ですが、ここでも環境汚染をクリアするために電気自動車が積極的に推進されるなど、国民生活向上を図るにはあらゆる面で電気の使用がベースになります。
      遡る2012年末、全国にはまだ電気と無縁の人たちが273万人いました。そこで翌2013年から電気を使えない人たちを無くそうという三年計画がスタート、2014年にはチベット自治区・新疆ウイグル自治区・内蒙古自治区・甘粛省でもゼロを実現していました。そして第12次5カ年計画の最終年であった2015年12月25日、遂に人民日報に「中国のすべての人が電気を使えるようになった」という趣旨の記事が掲載されました。最後に残された青海省のチベット族自治州9614戸39800人に電気が通じたのです。
この成果を受け、2016年2月、政府は<“十三五”期間新規農村電力ネット改造向上プロジェクト実施に関する意見の通知>を発し、2兆元以上の建設改造費を投入する旨表明、農業生産と農村の消費需要に積極的に対応して弱点を克服するよう求め、2020年には全国の農村への安定した電力供給を保障し、その電力ネット依存率を99.8%に、総合電圧合格率を97.9%にする、としました。そしてその具体的措置として、以下の諸点を掲げました。
      ①新型小都市及び中心村の電力ネットと農業生産電力供給施設の能力アップ ②PPP方式など民間資本も導入した農村電力ネットへの投資の多元化 ③チベット自治区・新疆ウイグル自治区及び四川省・雲南省・甘粛省・青海省4省のチベット族居住区の電力ネットの構築 ④国力家貧困扶助開発工作重点県、広範囲貧困集中地帯、旧革命地域などの農村電ネット改造 ⑤東・中部地域都市と農村の電力供給均等化による農村電力ネットの情報化・自動化・スマート化の推進。
その後、毎年各地域から電力ネット建設の成果が報じられました。2018年1月には、直近2年間で吉林省2141の村に電力が通じ、9.3万の井戸がモーターで水をくみ上げられるようになった、と報道されました。これだけでも農民には大変な朗報だったでしょう。

次回は5月9日の更新予定 テーマは<農村の道路網整備>です。

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