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第八十七回 就職最前線-その1新卒者の就職事情
1999年、国有企業等の大幅なリストラによる失業者の増加に対処すべく、政府は人材養成を表看板に大学の定員枠を大幅に拡大し、高卒者の就職圧力の緩和に努めました。
4年後の今年、卒業を迎えたこの世代の総数は212万人、昨年に比べ67万人増加しました。中国の大学在学者数は人口の1%で、先進国が軒並み30%を突破して いるのに比べると割合としては少ないのですが、①都市部新規就労者②農民の都市へ の流入③リストラ人員の再就職、という三重苦に昨今のサ−ズの影響もあり、問題は かなり深刻。各地で就職相談会が開催され、就職希望者が殺到してはいるものの、余りの人数に入場切符が手に入らない、入ってもひとでで一杯で相談にならない、とい った苦情も出る始末です。
就職難には、学生側、求人側それぞれに問題があります。教育部が6000名の 大学生に対して行った調査によると、沿海開放都市での就職を希望する者が全体の 67%にも達する一方、内地の中小都市を希望する者は僅か2.6%。また、学生の最大関 心事は将来転職するために戸籍を手に入れることで、ある都市で就職したかったら、まずその戸籍が得られる国有企業に就職し、それから違約金を払ってさっさと転職、といった手口も。求人側で目立つのは様々な制限。曰く、女性差別、地域差別、民族差別、容貌重視、年齢制限、身長制限、学歴偏重、経験重視etc。中には血液型や星座を指定したものもあるとか。
2002年、政府は<普通高等教育機関卒業生就職制度改革関連問題を一層深める事に関する意見><普通高等教育機関卒業生就職業務の適切な遂行に関する通達>を出し、本年1月には、就職に関する様々な制限の撤廃や、国と地方と大学が一体となった高等教育体制の再構築を柱とした6項目の重要対策を打ち出しました。広東省 では、優秀な人材に対しては、まず戸籍を取得させ、それから就職口を探させる制度がスタ−トし、また<広東人材市場管理条例>で、女性差別、民族差別を厳しく禁止しました。その他、各地で地域制限撤廃や、就職にまつわる各種上納金の撤廃が進んでいます。
ここ2年ほど、大都市で人材派遣業が急速に発展し、北京では既に数百社を数え、派遣者数も数万人に達しています。保健などを含めた契約内容についてまだ多くの問題があるものの、今後、拡大の一途をたどることは間違いないようです。