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第872回 新疆ウイグル自治区の変貌―その1-
(2019年6月6日)
4年前の2015年、新疆ウイグル自治区は、自治区成立60周年を迎え、同年9月には北京民族文化宮で盛大な記念展示会が開催され、同月25日、人民日報は<新疆各民族平等団結発展の歴史的証拠>と題する2万2千字におよぶ白書(国務院報道弁公室)を、第9-10の2面全面に渡り掲載しました。新疆では、中央人民政府の<中華人民共和国民族区域自治実施綱要>に基づき、1952年に新疆省民族区域自治準備委員会が発足、翌年、<新疆省民族区域自治実施規則>が中央政府に承認されて、1955年10月1日に新疆ウイグル自治区が成立しました。
しかし、新疆の発展は決して順風満帆とは言えませんでした。周知の如く、宗教問題・民族問題は、自治区成立以来今日に至るまで、チベット問題と並んで、喉に刺さったとげのように中国政府を悩まし、幾度かの暴動も発生しました。西側諸国の人権団体からの批判や抗議は現在も衰えを見せず、様々な現状が西側メディアを通じて世界に流されています。こうした中で、共産党政権が如何にして恒久的問題解決に取り組むかが試されているわけです。
2015年10月1日の記念式典で、俞正声全国政治協商会議主席が過去60年の経済発展、教育・福祉の成果を誇りつつ、新疆問題の着眼点と力点として、第一に社会の安定と恒久的な平安を掲げたのは、まさに上記の点を最重要課題として意識しているからにほかなりません。第二に諸民族の団結を掲げたのも、同一の文脈によるものであることは明白です。
二年後の2017年、十九全大会を前にして、9月18日と19日の2日間に渡り、人民日報は16面に及ぶ新疆ウイグル自治区に関する大特集を組みました。そして、2012年の十八全大会後の5年間で地域GDPが年平均9.3%増の成長を遂げたこと、住民の可処分所得が、都市・農民とも年平均10%以上増加したこと、固定資産投資は年平均12.4%増だったことなどを謳いました。18日の各紙面のテーマは“稳定,团结,惠民,开放,增绿,援疆,大美”で、やはり、“稳定”と“团结”が最重要課題であることが解ります。また、“开放”には“一帯一路新机遇”(一帯一路は新しいチャンス),“增绿” には「生态保护写奇迹」(生態保護で奇跡を起こそう)という「解題」がついていました。それぞれ、習近平総書記の重要政策に沿った標語です。
では具体的にはどういった政策が採られたのか、それは次回に。