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第875回 共産党の党内改革-その2-

(2019年6月27日)


      各法規に関する主な動きを見てみると、2015年6月<中国共産党巡視工作条例(修訂稿)><指導幹部昇進降格に関する若干の規定(試行)>の審議が中央政治局で始まり、党員の仕事振りを厳しくチェックする方針が示されました。また<中国共産党工作条例(試行)>が同月から施行され、党内法治に関する重要な里程標として位置づけられました。諸政党や社会組織における党組織の確立も強く求められ、<政党協商強化に関する実施意見><社会組織における党の建設工作強化に関する意見(試行)>なども頒布されました。
      翌2016年、<中国共産党地方委員会工作条例>が出され、各地方委員会に対し、不作為に堕せず、職責を十分果たすよう求め、同年秋の18期六中全会を経て11月に<新状況下における党内政治生活に関する若干の準則><中国共産党党内監督条例>が発布されました。
      2017年になると、<中国共産党工作機関条例(試行)>が出され、前述の<中国共産党巡視工作条例(修改)>も7月には正式決定を見ました。こうしたうねりが2018年の74部もの法規制定ラッシュにつながったのです。
      組織整備と引き締めの一方で、ソフトとなる思想教育も精力的に進められました。2016年、全党員に対し“両学一做”学習教育(両学:党章党規を学ぶ、一連の習近平の講話を学ぶ/一做:適格な党員になる)の常態化が求められ、翌2017年には<“両学一做”学習教育常態化制度化推進に関する意見>が出され、理論武装を一層強化するため、<中国共産党委(党組)理論学習中心組学習規則>も出されました。また、的確な党員になるために“四講四有”(四つを重んじ、四つを具え持つ)、即ち、“讲政治有信念,讲规矩有纪律, 讲道德有品行,讲奉献有作为” が求められ、目標実現のために様々な活動が展開されるようになりました。
      2018年2月、人民日報に基礎幹部育成に関する調査データが示されました。基礎幹部に求められる資質の上位五項目は以下の通り。①問題を協調解決する能力 ②経済を発展させる能力 ③人民に奉仕する事務能力 ④自己規律能力 ⑤政策執行能力。一方で現場幹部の直面する問題は、①評価システムや財務事務権などの制度的整備(73%) ②上級の指示がなく、民衆の理解がない(55%) ③民衆の法治意識の欠如(43%) ④将来の不安、昇進の困難、劣悪な待遇(41%) ⑤⑥法律の後進性/世論の不公平不公正(35%)となっています。

次回は7月4日の更新予定 テーマは<共産党の党内改革-その3->です。

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