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第880回 庶民生活の変遷-その3-

(2019年8月8日)

2017年12月30日の人民日報に<三代人的自行车情缘>という一文が掲載されました。河南省淮陽県魯台鎮の魯学洲さん(80歳)の家には一台の自転車が大切に保存されています。この自転車を魯さんが80元で購入したのは1971年のこと。永久ブランドの中古自転車に家中が興奮に包まれ、自転車を取り囲んで石油ランプをかざして飽きることなく眺めたそうな。翌日空が白み始めると、近所の人たちが一目見ようと駆けつけ、誰もが羨ましがり、それからは、嫁入りや見合いがあるたびに村の人たちが借りにやってきたとも。       
1988年、長男の峰さんが結婚すると、魯さんは真新しい鳳凰ブランドの自転車を二〇〇元で買ってやりました。峰さんは自転車を利用して日常雑貨品の卸し売り業を始め、粉石鹸、インスタントラーメン、タバコ、地元の淮陳酒などを運んで、商売は繁盛しました。       
2006年、長女が高校に入学すると、峰さんは入学祝いに飛鳩ブランドの自転車を買ってやりました。しっかりと勉強してハトのように飛び立って欲しいと。娘さんは希望の大学に合格、その後、下の二人の娘さんもこの自転車を使い続けました。峰さんは子供たちに、「水を飲むときには井戸を掘った人を忘れてはならない。今の仕合せがあるのは自転車のおかげだ、ということを忘れないように」と言い聞かせています。       
2018年5月5日の人民日報には<我家的电视变迁曲>という記事が掲載されました。       
施立夫さんは改革開放翌年の1979年生まれ。1983年4歳の時に村の徐さんの家に初めて一代の白黒テレビが入り、そこへ行っては香港ドラマの<霍元甲>を見ていたそうな。(筆者も同様に昭和30年代、テレビのある家に行って栃錦と若乃花の相撲に熱中していました)。1986年、村のテレビは十数台に増え、<西遊記>に熱中、牛を一頭売り、当時の一般家庭の年収に相当する600元でテレビを買ったそうです。(筆者の家は、1963年、東京オリンピックの前年に歳末の商店街のくじ引きで当たりました)。その後、1993年頃にはカラーテレビが嫁入り道具の主役になり、2007年には液晶テレビとなり、2013年にはwifiテレビに……。       
2014-15年に江蘇・浙江・安徽・河南・黒竜江の5省で行われた調査の中で、職業の階層を、農民→ブルーカラー→下層ホワイトカラー→上層ホワイトカラーに分け、子供が親の階層を上回った率を調べたところ、61%に達した、との結果も報告されています。

次回は8月15日の更新予定 テーマは<米中関係-最近のポイント>です。

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