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第883回 粵港澳大湾区発展プラン ―その2―
(2019年8月29日)
<粵港澳大湾区発展プラン綱要>は10章で構成されています。前言では、「近くは2022年(次期党大会開催年)、特区は2035年にまで及ぶ」このプランが「香港・マカオ同胞」を祖国の発展に組み込み、「長期的に繁栄・安定させる」ことを目的とすることを明確に提示、その上で、第一章では、プラン立案の背景として、この地域が海空の交通の要衝であり、“一帯一路”建設で重要な位置を占めている事、域内各都市が経済的に強い補完関係を持ち、しかも先端的な製造業・サービス業を中心とした戦略的新興産業がその発展を牽引している事、国家的なイノベーション基地になっている事などを挙げています。しかし、その一方で、世界経済で保護主義の傾向が増す中、地域内の発展のアンバランスや重複、関税制度のばらつきが解決されておらず、香港は経済成長を支え続ける確固とした基盤に欠け、マカオは経済構造に多様性が欠けるなどの問題を含んでいるとも指摘しています。第二章では、活力に満ちた世界トップレベルの都市群、世界的な影響力を持つ国際的イノベーションセンターの建設を目指し、具体的な発展目標として、2022年までに①新技術創出能力と科学技術研究成果の実用化能力の向上 ②新興産業と製造業の革新的競争力の持続的向上と、デジタル経済及び現代的サービス業(金融など)の迅速な成長 ③交通・エネルギー・情報・水利など、都市の発展と運営能力の更なる向上 ④エコを重視したスマートシティの実現 ⑤香港・マカオとの市場や様々なリソースの交流の強化、の実現を目指し、2035年までには更にそれらを深化させて、周辺地域を牽引する、としています。
第三章では、空間的配置を取り上げ、香港-深圳、アモイ-珠海の協力を強化するとともに広州-仏山の合体を進め、それらを高速鉄道・都市間鉄道・高速道路といった交通インフラや港湾群・空港群でネットワーク化し、加えて港珠澳大橋などによって珠江西岸の発展を促し、東西両岸のバランスの取れた協同発展を促すことを掲げています。そのうえで、香港・マカオ・広州・深圳という四大中心都市それぞれの発揮すべき主要な役割について個別に詳述しています。また、特に注目すべきは、同章後半で、最近特に注目されている「特色ある城鎮」の建設に紙幅を割いていることで、浙江省と並ぶ城鎮発展先進地域として、その模範的役割を果たすことが期待されていることが見て取れます。