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第884回 粵港澳大湾区発展プラン ―その3―

(2019年9月5日)

第四章では、広州―深圳―香港-マカオというイノベーション回廊を建設し、イノベーションに不可欠な人材・資本・情報・技術といった要素の融合を促し、この地域を大湾区のビッグデータセンターに、また、世界的なイノベーションセンターに育成することが謳われています。そのために、同地域の企業が、海外イノベーションと提携したり、海外に研究開発機構やインキュベーション基地を設けることをサポートするとし、内外の投資者が同地域に開発機構やイノベーションプラットフォームを設置することも奨励しています。また、深圳にある国家遺伝子バンクを拠点に、“一帯一路”生命科学技術促進連盟の設立を呼びかけることが特記されていることは注目に値します。       
同章第三節では、こうした新たな発展を支えるための環境整備を取り上げています。それは出入境・就業・居住・物流の壁を更に取り払い、高等教育機関や研究機関における科学・学術研究に関する人材・資金・データのより自由な流通・応用を保障し、プロジェクト協力を促進するというものです。また、同地域を国際的競争力に優れた科学技術成果産業化基地にし、大いに起業を奨励し、これに関連して、香港がその金融機能を最大限に発揮して、大湾区ハイテク産業の資金調達基地としての機能を果たすよう求めています。       
もう一つ重要な点は知的所有権に関する面での協力でしょう。これにより、地域全体としての知財権保護と専門的人材の育成を進め、また、行政による関連法規の執行や司法による保護を強化して、広州知財権法院などがより効果的にその役割を果たせるようにする、としています。特に、電子商取引、輸出入といった面での知財権取り締まりが強化されることになりそうです。また、こうした措置によって知財権取引市場を積極的に育成し、その中でも香港には知財権取引センターとなるよう期待を寄せています。       
第五章はインフラの整備と接続を重点的に取り上げています。その詳細はとても紹介しきれませんが、交通インフラ整備では、港湾群の機能調整・役割分担を一層合理化するとともに、港湾業務の質の向上を目指し、港湾群全体としての国際競争力の向上が図り、同じように、域内の飛行場群についてもそれぞれ拡張工事を行ってその吞吐能力を強化しつつ、相互のネットワーク化を図る方向が打ち出されています。

次回は9月12日の更新予定 テーマは<粵港澳大湾区発展プラン ―その4―>です。

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