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第890回 ネットの取り締まり―その2―
(2019年10月17日)
2017年はまずその冒頭に中共中央弁公庁と国務院から<モバイルインターネットの健全かつ秩序ある発展を促進することに関する意見>が出され、市場参入制度の整備、情報インフラのグレードアップと中心技術の開発、関連産業システムの革新、知財権の強化を進め、モバイルインターネットを牽引車として「‛インターネットプラス’行動計画」「国家ビッグデータ戦略」を加速させることを前面に打ち出すとともに、そのリスク防止に関しても、安全性を高めてユーザーの合法的な権益を守り、違法犯罪の取り締まりを強化することとし、、そのために、ネット管理能力を高めることを明確にしました。
同年4月19日、前年同日の習近平の関連講話1周年に当たり、人民日報は<インターネットで人民をより幸せに>と題する大きな記事を掲載し、「ネットの安全がなければ国家の安全はない」という標語を掲げました。同時に国家ネット応急センター(CN-CERT)が発表した<2016年我が国ネット安全情勢総述>によれば、2016年にモバイルインターネットに悪意を持って組み込まれたプログラムは205万件(前年比39%増)と急増しており、IoTに対する攻撃も増加し、1117件の抜け穴が発見されたとのこと。
中国における情報の安全管理は、純然たる犯罪防止の面と、既述の如く思想統制が絡む側面が夙に指摘されています。なかなか、区別がつきにくい面がありますが、関連する動きとして、2017年6月1日から施行された改定<ネット報道情報サービス管理規定>があります。同規定は、“微博”“微信”“客户端”などの普及に対応し、様々な新しいメディアを管理の範疇に組み入れようというもので、ネットによる虚偽の宣伝、フェイクニュースの拡散を取り締まることを目的としています。また、本来なら規定が施行されて一定期間後に実施細則の段階に移るのが通例であるにもかかわらず、同日にその許可管理実施細則が公布されたことから見ても、また、既述の<ネット安全法>の施行によってネット実名制が同日からスタートしたことからも、これらの面での政府の切迫感が窺えます。
2018年2月、政府は<ミニブログ情報サービス管理規定>を公布し、デマの取り締まりを強化し、また同月からBATなど主要インターネット企業16社に対し「ネット浄化」を呼びかけ、それ以後、本格的なネット規制が継続して進んでいます。