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第894回 中国と中東-その1-
(2019年11月14日)
さる9月5日から8日に、第四回中国-アラブ諸国博覧会が寧夏回族自治区の区都、銀川市で開催され、計画投資と貿易総額は1854.2憶元に達しました。この博覧会の前身は2010年に、寧夏回族自治区が主宰し、商務部・中国国際貿易促進会と共同で開催した第一回中国アラブ経済貿易フォーラムで、2012-13年に習李体制が発足後、正式に中国-アラブ諸国博覧会に昇格しました。2018年の中国とアラブ諸国の貿易額は2443憶元で前年比28%も増加しました。それもそのはずで、今日ではアラブ諸国は中国にとって重要な原油供給相手になっていますが、双方の結びつきはそれだけに限ったものではありません。2015年には中国-アラブ諸国技術移転センターが寧夏に設立され、以降、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプトなどと、8つの二国間総合技術移転プラットフォームを設け、技術者の育成も行ってきました。
こういったアラブ諸国との急速な交流の深化は、習近平の提唱する“一帯一路”政策と密接にかかわっています。2013年10月に習近平がインドネシアの国会で提起したこの構想は、同年11月の三中全会で提起され、本格的な取り組みが始まりましたが、その“一路”(海のシルクロード)を示した人民日報の図(2014.7.7付け)にはシンガポールからカルカッタを経由してテヘラン、イスタンブールへと向かう線がひかれていました。
翌2015年から、中東への積極的なアプローチが始まりました。イラン、イラク、トルコ、ヨルダン、アラブ首長国連邦などの指導者と精力的に関係を築き、バーレーン、更にはイスラエルなどにも経済協力の楔を打ち込みました。エチオピアの首都アジスアベバに中国製のライトレールが開通したのもこのころです。翌2016年は中国がアラブ諸国と外交関係を樹立して60周年に当たり、習近平国家主席は一月にサウジアラビア、エジプト、イランを公式訪問しましたが、それに先立って中国政府は、<アラブ諸国に対する中国の政策文書>と題する、六つの部分から構成される膨大かつ包括的な対中東政策を発表しました。特にその第三部分では、(一)政治領域 (二)投資貿易領域 (三)社会発展領域 (四)人文交流領域 ((五)平和と安全領域に分けてその政策を詳述しています。これが同月21日のカイロにおけるアラブ諸国連盟総本部での演説につながるわけですが、この続きは次回に。