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第899回 中国映画界最近の話題-その1-
(2019年12月19日)
2012年に日本を超え、世界第二の映画市場になった中国。2016年にはスクリーンの数が41179とアメリカを抜いて世界第一となり、市場規模も日本の3.3倍、アメリカの70%に達しました。また、3D化もこのころから進み始め、翌2017年には、総スクリーン数44489のうち、86.26%に当たる38377が3D化されました。更に2018年3月には総スクリーン数が54000を突破、映画館の数も1万軒の大台に迫り、同年末には総スクリーン数60079と止まるところを知りませんでした。同時点で都市部の映画館の観客数は延べ17億6000万人に達し、興行収入も609億元を突破しています。2019年春節は、<流浪地球><瘋狂的外星人><飛馳人生><新喜劇之王><熊出沒·原始時代><神探蒲松齡><廉政風雲><小猪佩奇過大年>などが人気を呼び、興行収入も58.4億元を記録しましたが、<流浪地球>と<瘋狂的外星人>は劉慈欣のSF小説を映画化したもので、また、<流浪地球>の監督郭帆、<飛馳人生>の監督韓寒、<小猪佩奇過大年>の監督張大鵬に代表される“90后”世代の監督の 台頭も注目されました。
こういった映画産業の発展に政府は様々なサポートを打ち出しています。2019年1月に国家電影局が発表した<映画館建設の促進と映画市場の繁栄発展を促進することに関する意見>では、2020年に総スクリーン数8万という目標を立てています。ただ、その一方で、主要映画館の1回の上映に対する平均入場者数は2016年31人、2017年25人、2018年22人と着実に減少しており、こういった状況で、今後毎年2万スクリーンも増やして大丈夫か、という懸念が生じるのも当然でしょう。しかし、これには訳があるのです。
実は、中国ではまだ主要な映画館は北京・上海・広州などの主要大都市に集中しており、中でも北京は突出しています。そこで政府は同意見で、中西部地区の県クラスの年に映画館を建設する場合、一軒につき30万元を上限とする補助金の支給を打ち出しました。また、郷鎮クラスの映画館の新築・改築についても、都市の映画チェーンに加入することを条件に同様の補助を支給することを決めました。映画館の数を増やすとともに、3Dのような先進設備の導入も積極的に推進しており、これについても、一軒につき50万元を上限とする補助金支給を打ち出しています。