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第九十回 土地政策−"経営城市,経営土地"
中国では、多くの国有地が不法に民間の手に渡り、不動産市場に流入しています。 有償であるべき土地を無償で譲渡したり、談合で安く払い下げたり、更には、民間企業が救済を名目に国有企業を合併吸収した後、その土地を建売住宅建設用地に流用す るといった手口も報告されています。
中国における土地の有償使用制度は1987年に始まり、1994年には、国務院が土地使用制度改革会議を開催、1997年の中央の11号文書で土地利用のマクロコントロ−ルと土 地資源、資産管理の強化を、2001年の国務院15号文書では、市場メカニズムに則った 土地の運用、土地使用権の取引管理の強化、土地買い上げ備蓄制度の実施などが規定されました(注:中国の土地市場とは、国有地の使用権、或いは使用権とその地上建 築物やその他の付属物がセットになったモノの流通を指す)。 その具体策として政府は<入札、競売、公示による国有地使用権譲渡規定>を整備し、これに合わせた改革がで展開されています。例えば杭州市では、建売住宅建設用 地は市の土地備蓄センタ−が一括購入して更地にした後、土地局によって入札、競売に付されることになりました。このような方式による収入は、1999年以来、既に全国で1000億元を軽く突破し、各都市の都市整備計画の主要な財源になってきています。
土地に関する問題でもう一つ注目されるのが蘇州の取り組み。従来、土地使用証は、広大な面積を単位に行なわれていたため、手続きが煩瑣で時間もかかり、消費者が家 を買っても土地使用証はなかなか貰えず、いざという時、消費者の権益が保証されないという事態が少なくありませんでした。そこで蘇州では1998年から土地の分割登記 を始め、現在は、10日以内に各家ごとに<国有土地使用権分割譲渡許可証>を入手できるようになり、登記率も従来の10%前後から96%に跳ね上がっています。政府はこの蘇州の取り組みを高く評価して、全国的に推進することを決定しました。
昨年1月、国土資源省は、今後、毎年6月に全国統一土地登記代理人職業資格試験を実 施すると発表しました。土地登記代理業の出現は、中国の土地政策の1つの発展段階を示すものとも言えましょう。