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第904回 夜間経済-その2-
(2020年1月30日)
まず気をつけなければいけないのは、“夜間経済”は何も外出しての消費だけを指すのではない、ということです。例えば、2019.10.25付人民日報が紹介した<アリババ“夜経済”報告>や<成都夜経済データ報告>のデータによると、2019年国慶節期間中の夜10時から翌朝6時までの夜間飲食消費金額は全国で前年同期比55.5%増と、一般飲食業の増加幅より高くなっていますが、これらの飲食にはケータリングが相当のあり合いで含まれており、例えば、2019年上半期のケータリング注文額は、北京で77%増、成都では70%増となっています。中国では最近ケータリング市場の規模が急拡大し、その市場規模は2018年には2414億元にも達していますし、その中身も、食事から薬や花束、ペット商品に至るまで多様化しつつあります。食事以外の夜間消費について言えば、国慶節期間中の北京・三里屯商業地区の夜間ショッピングは前年同期比で30.5%増でしたが、タオパオによると、今日ではネット購入のピークが夜の9-10時の時間帯になり、夜間消費が一日の消費に占める割合は36%にも達する、とのこと。更に、食事やショッピング以外にも、サッカーやバスケットといった本格的スポーツをしたり、トランポリンやロッククライミングを楽しんだり、フィットネスに通ったりといったスポーツや健康運動での消費、24時間書店で読書三昧を楽しんだりという文化消費など、“夜間経済”のアイテムは多様化の一途をたどっています。そのため、各地はそれぞれの地域の特性やニーズに応じた消費の振興にも取り組んでいます。
一方で、さらなる発展を目指すためにクリアすべき問題も顕在化しています。食の安全や治安対策は当然その第一・第二に挙げられるべきでしょうが、消費の推進という点で見逃せないのが足の便です。夜の消費を楽しんでも、一定の時間を過ぎると帰る術がないのでは困ります。北京では地下鉄の週末時間を一時間余り延長する措置が取られていますが、地方都市になれば、公共バスの運行時間の調整も検討が必要になります。
中国の都市交通は近年急速に発展し、2018年には年間乗客延べ人数が697憶人に達しました。近郊の村々へのバス路線も完備されつつあります。それにつれ、都会に出ての消費はますます盛んになり、交通の役割も当然増大するでしょう。