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第905回 食糧問題-その1-

(2020年2月6日)

2019年12月、国家統計局は、同年の全国食糧総生産量が前年比594万トン増の66384万トンと史上最高を記録した一方で、栽培面積は17.41億ムーと1462万ムー減り、穀類・豆類・イモ類では単位面積当たり生産量が若干向上した、と発表しました。       
これに先立つ2019年10月、国務院は<中国の食糧の安全>と題する克明な白書を発表して今後の食糧安全戦略を提示し、同月15日の人民日報にその全文が掲載されました。それは、世界の人口の5分の一を占める中国が、既にお腹いっぱい食べられるようになったものの、今後の課題として、食糧の自給を揺るぎないものとするとともに、さらに良い食事をとれるようにする段階へと進み始めようとしていることを示しています。       
こういった食糧に関する戦略への新しい取り組みが本格化したのが2016年で、同年12月30日には中国初の<耕地品質等級>国家標準が正式に実施され、科学的な指標と方法が提示されました。都市化・工業化が急速に進む中で如何にして耕地を確保するか、それはデッドラインの18.65億ムーを確保するとともに、土壌の改良、地力の強化なども進めなければなりません。そこで<耕地品質等級>では土地を10ランクに分ける(一等が最高ランク)とともに、全国の耕地を、東北区、内蒙古及び長城沿線区、黄淮海区、黄土高原区、長江中下流区、西南区、華南区、甘(粛)新(疆)区、青蔵区の九区に分けて、13の基礎指数と6つの地域性指標を組み合わせた、それぞれの耕地と土壌の特徴を考慮した指標を作成しています。       
これにより、2020年までの第13次5か年計画中に全国の耕地の質に関するデータベースを確立し、政策決定や農業生産にその足掛かりを提供することが図られたのです。       
翌2017年9月、国務院は<農業供給側構造改革を加速させ、食糧産業経済を大いに発展させることに関する意見>を発表、2020年には国情に合った現代食糧産業体系を立ち上げ、優良品質食糧生産品率を10ポイント高め、食糧加工率を88%にまで高め、営業収入100億元以上の大型食糧企業を50社以上育成することなどを掲げ、併せて、5つの重要任務を提示しました。また、同月には、2年前から実施されていた<耕地輪作制度の試験的実行拠点プラン>(同年実績で1200万ムー、9省192の県と市)についての成果も発表されました。その内容とその後の政策は次回に。

次回は2月13日の更新予定 テーマは<食糧問題-その2->です。

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