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第908回 PPPの内実-その2-

(2020年2月27日)

呉亜平氏の「PPP方式をある種の融資ツールにしてはならないこと」という指摘は、PPP方式によって発生する債務が地方政府の財政と切り離されるため、従来の地方債の発行をPPP方式に切り換えようという地方政府の増加に警鐘を鳴らしたものです。地方債は地方政府がダミー会社を使って開発資金を調達したことによる債務の増大を防ぐため導入されたもので、2015年には全国に広がり、地方政府の隠れ債務を可視化しましたが、金融引き締めなどの影響で発行が停滞、資金に窮した地方政府がPPP方式に殺到したわけです。       
とはいえ、成長率が鈍化しつつある昨今の経済状況下で、先進諸国に比べまだまだ都市化の余地がある中国にとり、都市化の推進は国内消費の喚起につながる重要アイテムです。地方政府にとっては、そのインフラ整備のための資金をいかに調達するかが最重要課題で、それにはPPP方式を如何に健全に育成するかがカギとなるのです。こうして、中央政府では、2017年11月から2018年3月にかけ、財政部がPPP総合情報プラットフォームプロジェクトバンク集中見直し活動を実施し、問題を抱えるプロジェクトを排除し、その一方で、2018年2月に、第四次PPPモデルプロジェクトの選考を実施し、北京市新空港北線高速道路(北京区間)など396件、総額7588億元を認定しました。地方でも、例えば山東省は2019年8月までにPPPモデルプロジェクトが1038件(1兆1400億元)に達しました。特に県レベルに集中しているのが特徴です。       
2016年頃のPPPの課題の一つが、PPP方式は結局、国有企業を助けるのが目的で、“国進民退”であり、民営企業には権限もメリットもほとんどない、という点でしたが、2017年の党大会以後、この面に関する様々な「通知」や「意見」が政府より打ち出され、権利の拡大、負担の軽減が図られました。2019年1月、財政部PPPセンターの焦小平主任は「これまで社会資本は、地方政府が推奨するPPPプロジェクトは脂身が入った肉がなく、赤身もわずか、皮や骨がほとんどだった、と言っていたが、今後は優良プロジェクトを多くし、参入基準を緩和し、競争を奨励する」と語りました。中国の民営企業は2018年末に3100万社を突破、国の税収の50%以上、GDPの60%以上、都市労働者の就業の80%以上を占め、全国3億5700万人の就労を解決し、中国経済発展の核心的役割を担いつつあります。

次回は3月5日の更新予定 テーマは<進む信用社会構築>です。

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