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第910回 進む信用社会構築-その2-

(2020年3月12日)

こうした動きは企業に対しても行われました。陝西省は2017年3月に、信用を柱とした新しい市場監督体制を構築するため、<陝西省企業信用監督管理規則>を制定して、第三者評価制度を構築し、企業に対する総合信用格付けを行い、優良企業とブラック企業のリストを作る方針を打ち出しました。優良企業に格付けされた企業に対しては、通常の監督検査の回数の削減、許認可申請の優先的受け付け、手順の簡素化、優先的な財政的サポートといったような特典も用意されています。ほぼ同時期、安徽省は<安徽省企業環境信用評価実施プラン>(修正版)を打ち出し、環境に対して重大な脅威を与えた企業は「環境保護不良企業」と認定、環境保護特別補助金の申請に対し厳しい審査を行うと同時に、省の公共情報共有プラットフォームを通して省内の各部門に通報し、共同で懲戒処分を行う事としました。また、中央政府の発展改革委員会・人民銀行・税関総署など33部門は<税関信用喪失企業に対する連合懲戒実施に関する協力覚書>を取り交わし、これによって、輸出入企業は、ひとたび税関によって信用喪失企業と認定されると、全国の税関並びに国の信用システム全体において烙印を押され、八方塞がりの状況に追い込まれました。こうした動きは2017年春以降急速に全国に波及し、人民日報も、企業の信用をテーマにした特集記事を度々掲載しました。       
信用制度の整備は消費面で極めて顕著な効果を見せました。2017年6月までに累計で延べ733万人が飛行機のチケットを、延べ276万人が高速鉄道などのチケットを購入できなくなりました。シェアサイクルの利用者は当時すでに1億人を突破していましたが、同年3月に多くの都市で“信用騎行”が実施されるや、わずか3カ月で、デポジットを免除される信用認定者が利用者の半分に達し、料金踏み倒しは52%、自転車持ち去りも45%の減少を記録しました。このような動きは、2018年に入るとさらに拡大、加速していきました。2018年1月11日付の人民日報は「『信用時代』のインフラをしっかり打ち建てよう」という記事を掲載し、同年5月8日付では、「信用構築にデジタル化の翼をつけよう」という記事を掲載、デジタル化・ネット化・AI化を社会の信用システムと結びつけた、ビッグデータをベースにした「信用クラウド」の推進を呼びかけました。2017年から2018年にかけて中国が信用システムの確立に注力し、大きな社会変化を起こしたことは特筆大書すべきでしょう。

次回は3月19日の更新予定 テーマは<交通インフラ-橋の建設->です。

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