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第911回 交通インフラ-橋の建設-
(2020年3月24日)
2012年の党大会で登場した習近平の公約の一つが、2011年の共産党結党百年までに貧困を撲滅し、全面的な小康社会を実現することで、その切り札が90年代に打ち出された村々通(すべての農村に自動車道路を)でした。習近平は登場以来この政策を強力に推進し、その成果は各経済圏の連携を促し、物流網の促進、Eコマースの隆盛をもたらしましたが、自動車道路建設に不可欠なのは、険しい山や谷、長大な河川を克服する橋梁やトンネルです。こうして、2012年の18全大会以降、中国では橋梁建設ラッシュが続き、19全大会が開催された2017年までに、自動車道路の橋梁は2012年の71.3万カ所から80.5万カ所にと9万カ所以上増えています。その間、貴州省と雲南省に跨り、世界で最も高い橋(565m)と言われる北盤江大橋を始め、四川省の乾海子大橋、湖北省武漢市の鸚鵡洲長江大橋、湖南省の湘西矮寨大橋といった、工法の面から見ても世界の最先端を行く橋が建設され、各工法の世界上位ベストテンでいずれも過半数を占めるに至りました。2017年にはまた、広東省に全長55kmの海上大橋、港珠澳大橋が完成しましたが、中国メディアはこれを「世界の島・トンネル・橋の各種先端技術を集めた現代世界7大奇跡の一つ」として取り上げています。このような海上大橋はこのほかにも杭州湾をはじめ各地に建設されています。一方、同年までに四川省宜賓以東の長江下流には、鉄道関係の橋も含め、すでに135カ所の長江大橋が建設されていることも、南北交通の発展を語る上で見逃せません。
2017年末、中国全土の高速道路は13万6500kmに達し、その動きに合わせて、自動車道路の橋梁は2018年末には85万1500カ所に増えました。また、各地域の毛細管となる都市と農村、農村と農村をつなぐ自動車道の建設もこれに伍して急ピッチで進められており、2019年の年間統計を見ると、全国農村自動車道路の新規・改良キロ数は29万kmに達し、それによって、公共バスが運行するようになった村(建制村)は9400カ所(貧困県5800か所を含む)に達しています。当然ながら、そこでも多くの橋梁が建設されているのです。
4年前の2016年6月、武漢に中国初の「橋梁構造安全国家重点実験室」が設置されました。当時、杜撰な工事による橋梁の崩落が多発し始めていたからです。高速鉄道の整備に伴い、橋梁やトンネルの安全管理の向上が以前にも増して求められるようになったのは当然です。