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第913回 新型コロナウイルスと人民日報の報道-その2-
(2020年4月2日)
1月21日、人民日報1面右トップに「習近平、新型コロナウイルスによる肺炎蔓延に対し重要な指示を出し、人民大衆の生命と健康を第一に、断固として蔓延を食い止めるよう強調」という記事が掲載されました。同記事は新華社北京1月20日電として、「最近、湖北省武漢市など多くの地区で新型コロナウイルスによる肺炎が蔓延し、1月20日午後6:00までに全国で224症例(武漢市198例、北京市5例、広東省14例)が確認された」と報じ、2面には孫春蘭副首相の関連工作電話工作会議での発言が掲載され、また、6面には、「武漢ではパンデミック状態になり、人から人への感染も確認されたが、十分な監視・隔離制度が確立されており、17年前のサーズのような社会的影響や経済的損害は起こさない」という鐘南山国家呼吸系統疾病臨床医学研究センター主任のコメントも紹介されました。しかし、それが楽観的過ぎる見方だったことは周知のとおりです。人民日報のその後の関連記事掲載数(筆者独自の計算方法による)は、同日から26日までが5件未満、27日から31日までが10~20件、2月1日から4日までが30件前後、2月5日から7日までが40~60件前後と急速に増加しています。なぜ26日までそんなに記事を抑制したのか、その解の一つは春節でしょう。2020年の春節は1月25日です。政治的にも経済的にも春節の主要行事を済ませてからの方がダメージが少なくて済みます。一面トップが新型コロナ記事になったのもやはり1月26日、また、その日から常に一面に関連記事が載りましたし、2面は26日以降途切れることなく全面が関連記事で埋め尽くされました。
また、春節による休暇期間は1月30日までで、2月1日と2日は土・日ですから、3日からの社会活動再開を前に、2月1日から急激に本格的な取り組みを始め、国民に呼びかける報道が増えたこともうなずけます。
2月1日は一面と2面全部が関連記事で埋め尽くされました。また、同日から一週間は常に新型コロナ関係の全面広告や全面写真紹介などが3面以上含まれましたし、2月3日から7日まで(月~金は20面。*土日は8面)は、常に半分の10面以上に関連記事がちりばめられました。こういった報道形式から、中国政府の取り組み姿勢が見えてきます。では、そのプロセスで、どういった取り組みがなされたか、報道内容はどう変化したのかは次回に。