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第918回 貧困撲滅は間に合うか―その3―

(2020年5月7日)

2017年末から2018年初頭にかけて、<貧困地区貧困脱却攻略実施の深化支援に関する意見>や<貧困村駐在作業チーム選抜管理事業強化に関する指導意見>が、2018年に照準を定めた政策を矢継ぎ早に打ち出しました。そこで示された2018年の貧困扶助八大重点は以下の通り。①貧困人口貧困脱出並びに貧困県指定解除計画の策定、②今後三年間の活動に対する指導的意見の策定、③極貧地区に対する確実な支援の強化、④精度の高い施策の着実な推進、⑤貧困活動の綱紀重点対策、⑥貧困扶助を、進取の精神や知識の向上に対する支援と結びつけ、内発的貧困脱出力を引き出すこと、⑦監督・巡検・審査といった評価システムの整備、⑧東西両地区の貧困扶助協力と定点扶助の本格的推進。       
同時期に発表されたデータによると、全国の2017年末貧困人口は3000万人余り、貧困発生率が20%を超える極貧村は2.98万村に減少しました。その中で新たにクローズアップされてきたのが、上記⑤にも掲げられた、貧困扶助活動における腐敗と形式主義の蔓延です。腐敗とは主に補助金の中間搾取などですが、貧困村に対する補助を得るために、貧困基準を脱出したにもかかわらず数字を偽る例も見かけられます。形式主義というのは、問題点への取り組みをたらいまわしにする、村に駐在して活動に取り組むべき者の駐在期間が既定の三分の二にも満たない、資料の配布や調査票の記入に労働中の農民を呼びつける、指導者の視察時に他地域に行っている農民を記念撮影のために呼び戻す、個別の事情を考慮せず一律に施策を押し付ける、などと言う行為を指します。政府は今後一年間かけて、これらの問題に真剣に取り組み、各村の責任者や幹部に対する教育を強化する方針を掲げるとともに、同年4月には、湖南省衡陽市の衛生・計画出産委員会の副調査研究員による支援資金不正融資事件、青海省瑪多件の郷党委員会委員による草原生態保護補助金着服事件、黒竜江省依安県の村党総支部書記による家屋改造補助金横領事件など6件の典型的な事案を発表し、注意を喚起し、中央紀律検査委員会国家監察委員会サイトも24件の典型的事案を公表しました。勿論、これらは氷山のほんの一角にすぎません。例えば、同時期、寧夏回族自治区だけでも類似の腐敗事案60件(処分者122人)が明らかにされているのです。   
次回、最終回は2019年以降の動きを紹介します。   

次回は5月14日の更新予定 テーマは<貧困撲滅は間に合うか―その4―>です。

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