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第923回 「十三五」期間の知財権動向-その2-
(2020年6月12日)
「十三五」開始後、政府は<国家知的財産権戦略綱要>や<新情勢下の知財権強国建設に関する国務院の若干の意見>を完遂するため、知財権戦略実施対策省庁横断会議を設置、総合知財権戦略推進に舵を切り、国務院は<“十三五”国家知的財産権の保護・運用計画>を通達し、7つの重点事業を提示しました。①特許法・著作権法・不正競争取締法など知財権関係の法整備 ②刑事処分・行政執行・輸出入貿易などでの知財権保護レベルの向上 ③商標戦略・地域ブランド・新種植物など知財権の質の向上 ④知財権に強い省・市の建設 ⑤知財権に強い企業の育成 ⑥産業発展のアップグレード ⑥“Made in China” 知財権布陣の整備、知財権集約型産業の発展、産業知財権連盟の育成、軍民知財権交流強化等の産業アップグレードの推進 ⑦知財権国際交流促進とイノベーション型企業の海外進出支援。この方針の下、2016年以降、各部門は次々と具体策を打ち出しました。例えば2016年、最高人民法院は<特許権侵害トラブルへの法律適用上の若干の問題に関する解釈>で、特許権の拡大を制限して善意の使用者を保護する方針を、政府は<知識価値の増加を踏まえた分配政策実施に関する若干の意見>で、科学研究機構や高等教育機関の分配自主権を拡大して研究者の科学技術成果所有権に対する長期インセンティブを強化する方針を打ち出しました。また、特許法・著作権法・不正競争取締法・電子商務法・薬品管理法・化粧品衛生監督条例・特許代理条例などの法律法規にも修正が加えられ、2017年には国務院が<新情勢下における知財権侵害・偽物粗悪品製造販売取り締まり活動強化に関する意見>を出し、行政執行・刑事処罰・司法裁判・知財権迅速保護・仲裁調停・業界自律・社会監視を組み合わせた知財権侵害偽造取り締まりシステムを2020年に形成することを掲げました。
2018年以降は、知財権保護に対する積極的な姿勢がより顕著になりました。同年、国務院は<知財権対外譲渡規範化関連業務規則(試行)>を通達し、厳格なチェックに乗り出しました。翌2019年には最高人民法院に知財権法廷が開設されましたし、綱領的文献と位置付けられた同年11月の<知財権保護強化に関する意見>では、2022年までに権利侵害現象が多発している状態を抑制し、「立証が難しい、決着までの期間が長い、費用がかかる、賠償額が低い」という状況を明らかに改善することが謳われたのです。