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第九十三回 環境政策−進む法整備その2
環境関係の法律でもう1つ注目されるのが7月1日に施行された<汚染排出費徴収 使用管理条例>。現行法が排出基準超過を取り締まるのみで排出総量に対する規定が ないこと、取り締まり対象因子以外は野放しになっていること、徴収費の徴収方法、徴収後の管理、使用目的が明確でないことから様々な不正が生じていること、更には、改訂後の<水汚染防止法><大気汚染防止法>との不整合などを是正することが目的となっています。今回の改正で、排出基準超過以外でも汚染があれば即課徴金を 徴収するようにし、また、課徴金は環境保護資金に繰り入れ、流用を防ぐことにしました。減免措置をとる場合も、その理由と期限の公示が求めれています。
政府は環境政策を着実に実施する前提として、これまでに国、省、市による三段階 環境自動監督観測網をほぼ確立し、2千数百箇所の観測地点で、大気汚染、酸性雨、 地表の水質、沿海の水質などの観測が行われるようになりました。2003年4月には、大連で全国環境監察工作会議を開催、環境違法行為取締り3ヵ年行動計画を策定し、「人々に衛生的な飲み水を」が今年のテ−マに決まりました。環境に対する施策 は各地方でも徐々にきめ細かくなり、河北省では昨年7月、家電に対するフロンガスの補充を禁止、2003年からは新車のク−ラ−へのフロンガスの使用を禁止し、更に昨年10月にリン洗剤の販売と使用も禁止しています。山東省の済南市では今年の5月から、廃棄物運搬車にGPS装置の装着を義務付け、常にトラックの位置を確認す ることで不法投棄を追放する措置に乗り出しました。
環境事業の進展で、人々の環境に対する関心はこれまでにない高まりを見せています。権利意識の向上も手伝い、2002年1年間だけで、環境関係のトラブルは40 万件を超えました。1998年に中国政法大学に設立された<環境資源法研究サ−ビ スセンタ−>は、昨年末までに延べ4千人以上に無料法律相談を行い、30件余りの 訴訟手続きをサポ−トしました。しかし、「汚染状況の変化が速く証拠がつかみにくい」、「起訴する農民は費用が乏しく、相手の企業は政府が後ろ盾」、「専門的な科 学的鑑定が困難」といった状況が続いています。環境訴訟にどう対応するか、も今後 の大きな課題になりそうです。