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第947回 思い切った土地改革―その3―
(2020年12月3日)
2016年の<国土資源“十三五”計画綱要>では「全国の安定利用可能耕地を18.65億ムー以上、ベースとなる田畑は15.46億ムー以上確保し、高効率田畑は最低8億ムー確保する」、「建設用地の耕地占有面積は2000万ムー程度とし、一方で土地の整理により2000万ムー以上の耕地を補充する」ことを謳い、不動産統一登記を全面的に進めることも明示されました。また、鉱山採掘で荒れ果てた750万ムーの生態環境回復や、海洋生態の回復・保護に力を入れ、天然の海岸線を35%以上確保することも計画に組み入れられました。土地の有効利用を高める取り組みの中でやり玉に挙がったのが、城鎮(都市部)における土地の杜撰な管理・利用です。古い町・農村・工場(三旧)の改造は既に2008年頃に提起され、2013年から上海・浙江・遼寧などで試みられましたが、近年はそれに加えゴーストタウン(“空城”、“鬼城”)現象も各地に見られていました。これらの問題の解決には複雑な土地権利関係や必要な資本の呼び込みなど困難も多く、2016年11月、政府は漸く<城鎮低効率使用地再開発の本格的推進に関する指導意見>を出し、本格的に取り組む姿勢を示しました。政府はこれら土地問題の解決のために具体的数値目標を設定し「第十三次五か年計画中に1兆7000億元を投入する」と発表しました。
翌2017年、国務院は、全国の開発と保護に関する初の総合的かつ戦略的な長期計画<全国国土計画綱要(2016-2030)>を発表、「2030年には都市と農村が協調的に発展し、資源節約型、環境重視型の社会を実現する」という目標を掲げました。その中には、水の使用量を7000億㎥以内に抑え、水土の流失が深刻な面積94万㎢を回復することも組み込まれています。
2019年11月、農民が今後も安心して農業に勤しめるよう、これまでに2回延長されてきた土地請負期間を更に30年延長する<土地請負関係を安定しかつ長期的に変わらず保持することに関する中共中央、国務院の意見>が出されました。これで、土地の請負権は合計75年間保証されたことになります。
2017年から全国で進められた農村集団所有資産の洗い出しが3年かけて完了、2020年7月に2019年末時点の数値が公表されました。全国41万以上の村で改革が行われ、その構成員は6億人余りと確認されました。今後の政策立案の基礎的データが確立されたと言えます。