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第949回 東北三省の新しい動き—1—
(2020年12月17日)
第13次5か年計画初年の2016年の本コラム第716号と第717号で「東北経済の苦境」という一文を書き、2014年に“断崖式下滑”を経験した東北経済の原因とその回復への取り組みを書きましたが、その後どうなったのでしょうか。ちょうどそのコラムを書いた2016年4月、<東北地区等旧工業基地の全面的振興に関する中共中央国務院の若干の意見>が出され、一帯一路建設、京津冀協同発展、長江経済ベルトと連携して全面的な振興を図り、主要項目として、デジタル制御工作機械、工業用ロボット、半導体集積回路、新型エンジン、ガスタービン、測位衛星の活用、光電子、AI装備、生物医療、新素材などを発展させ、特定企業の企業城下町といったスタイルを抜け出すことを目標に、瀋陽・大連・長春・ハルビンなどに国内で最先端を行く新産業集積地を建設することを謳いました。また、国境隣接地域の重点開発開放試験区建設を進め、黑瞎子島の保護と開発開放を進めること、地政学的な見地から、東北地区を北へ向けた重要な窓口、東北アジア地域協力の中核とし、①ユーラシア経済同盟(プーチン主導)やモンゴルステップロードとのドッキング ②中韓国際モデル地区の設置 ③中日経済・産業プラットフォームの推進 ④欧米諸国との関係協力システムとプラットフォームの推進 ⑤中独(瀋陽)ハイエンド装備製造産業パークの建設等全方位的な対外経済協力関係を推進することが記されました。これに合わせて大規模な交通・エネルギーなどのインフラ整備も詳しく提起されましたが、こうした大方針を受け、同年11月には<東北振興“十三五”計画>が打ち出されたのです。
こうして具体的な動きが急ピッチで始まったのですが、真っ先に取り組んだのが、「投資が山海関を越えない」と言われた、域外からの投資不足で、上述の意見に盛り込まれた、遼寧・吉林・黒竜江三省と江蘇・浙江・広東三省、瀋陽・大連・長春・ハルビン四市と北京・上海・天津・深圳四市がパートナー協力システムを構築し、支援ではなく、様々な形でコラボレーションし、補完し合うことで共に発展を図る取り組みが始まりました。また、遼寧省は、2017年を「ビジネス環境建設年」と定め、東北工業の心臓部である瀋陽を国際化ビジネス環境に整備することを重要な突破口と位置付け、最初の二カ月余りで、11の分野、89の問題を処理した、と豪語しました。