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第九十五回 食品の安全と市場参入制
以前、緑色食品について書きましたが、更に食品の安全性に関する問題を追ってみましょう。中国ではここ数年、毎年2〜4万人の食中毒が報告され、実数はその10倍もと言われています。そのうち学校や職場の食堂での中毒が7割近くを占め、また、細菌性中毒に次いで薬品中毒が3割以上を占めていることが注目されます。
食品の安全性を脅かす主要な原因は様々。ネコや犬の死骸を加工してレストランに食肉として卸すといった言語道断な例は別として、目立つのが食品添加物。今年の春、陝西省では、実を大きくするために使われた成長ホルモンが原因で貯蔵中のキウイフル−ツが大量に腐ってしまいましたが、これは食中毒には至りません。しかし、硫酸マグネシウムが30%も占める白砂糖や、砂糖水に塩酸を加えた蜂蜜、ホルマリンにつけたナマコや避妊薬を与えて太らせた魚、となると人体に無害と言うわけにはいきません。更に深刻なのが農薬の使いすぎ。今年5月には内モンゴルで一家3人が死亡しました。
消費者は“買前操心、買時戒心、買後疑心、吃時提心、吃後担心”「買う前迷って買うときゃ身構え、買ってしまって疑心に駆られ、食べる時にはビクビクもので、食べたら食べたでまた不安。」といった状態に置かれ、一刻の猶予もなりません。そこで政府は2001年から本格的な対策に乗り出し、今年になって大々的に食品品質安全市場参入許可制度を打ち出しました。1月14日、最初の1323社に食品生産許可証が交付され、食品市場参入資格が付与されました。北京では2月1日から<北京市食品安全監督管理規定>が交付され、23台の食品専用検査カ−が一斉に市場の立ち入り検査を開始しました。
食品を生産現場からト−タル管理しよう、という動きも活発化しています。上海、南京などでは、食品の身上調査書とも言うべき、作物、畜産物、加工食品などの生産者、生産地区、生産方法など様々な関係デ−タを明示する試みも始まりました。農薬、重金属、有害生物などが国の一定基準内に抑えられている<無公害食品>。化学肥料や農薬、各種添加剤などを全く使用しない(AA級)か、ほとんど使っていない(A級)<緑色食品>。有機農業システムにより生産された原料のみを使用した<有機食品>。これらの食品が今、中国で大きなブ−ムになっています。